ホンダ ビートをご購入後のメンテナンスについて
通常のお車はお客様にオーダーして頂くと、業者オークション等でお探しし提供させて頂きますが、ビートの場合はほとんどのお車が20歳以上の立派な旧車です。
ですから、ぱっと見のキレイかどうかの程度とは別に沢山の部分の部品交換が必要になります。
ビートは軽自動車ですが、実際のカテゴリーは研ぎ澄まされたスポーツカーですので、中途半端な整備をすると危険である事と乗りながら突然やってくる経済的負担(整備費用)が多くなる事をご認識下さい。
ですので、過去のメンテナンス履歴および乗り出し時のポイントを押さえたメンテナンスが不可欠です。
エンジン
ビートに多いトラブルといえば、エンジンルーム内のトラブル。
対策としては1℃でも低く、1秒でも早くエンジンルーム内を排熱することです。
某ショップで販売されている「エンジン冷却ファン」も十分有効かと思われます。
熱による過酷な環境ゆえ、タイミングベルト・ウォーターポンプ・ディストリビューター(デスビ)は
5万km程で交換した方が安心です。 ディーラーは大丈夫だと言うかもしれませんが、とても10万kmも耐えられるとは思えません。 中古でビートを購入した際は、購入直後に上記3点セットの交換をおススメしています。
ちゃんと整備記録が残っていて、交換時期が把握できれば問題ないですが 「納車1週間後にタイベルが切れて、エンジン換装」なんて事になるかもしれませんので、確実にタイベルは交換して下さい。
同様にエンジンオイルは3か月に1回交換した方がベターです。 3ヶ月でも結構汚れています。頻繁に高回転まで回す、というのも要因の一つですが・・ それと、オイルの減る量も把握して下さい。
ちなみに中古のエンジンは少ししか市場に出回っていません。 ビートは3万台しか生産されていませんし、製造中止から20年近くも経っているということで中古エンジンが 見つかっても高額だったりします。コンプリートエンジンとして何社からか発売しているので エンジンをオーバーホールするなら、そういったエンジンに乗せ換えられるのも魅力です。
少しでもエンジンの寿命を延ばしたいのであれば、あまり高回転を多用しないことです。 ビートの魅力は若干失われますが、カタログ上の最大トルクは7000回転ですので 7500回転でシフトアップしても十分楽しく走れます。カタログスペックで最高馬力である64馬力が 8100回転で発生しますが、ネット値62馬力が7900回転で発生することを考慮すると 8000回転以上回す必要は無いかと思います。(あくまでも、街乗りレベルでの話) 8000回転以上まで回すとE07A(エンジン)から悲鳴が聞こえてきそうで怖いです。 「オーバーレブまでぶん回す」のであれば、水温・油温・油圧メーターは必須でしょうし エンジンの保護を考えるとラジエーター強化とオイルクーラーも必要かもしれません。
もう一つ、ビートのヒーターはエンジンが5000回転以上の時に使用すると壊れます。
一回でも5000回転以上回したら・・ではなく、常に5000回転以上で使用していると通常よりも早く寿命がくるという事です。
対策としてはエンジンをアイドリング状態で2~3分回してから、とかエンジンを高回転まで回している時にヒーターを オンにしない、などがありますが一番いいのは「5000回転以上でエンジンを回さない!!」です。
たった5000回転でも、2速で時速40km、3速で時速60km、4速で時速80kmでます。 街乗りでは十分な速度です。
ディストリビューター
もう一つ、ビートに多いトラブルといえばディストリビューター(デスビ)の固着です。
これは高速回転での走行が多いときに起きやすいトラブルの様です。 デスビが固着すると、それに連結しているカムシャフト・タイミングベルトの動きに負荷がかかります。 負荷のかかったタイベルが切れると、制御不能となったバルブが暴れだし、燃焼室内に致命傷を与え 非常に高い修理代を出費することになりかねません。
大事故を未然に防ぐために、定期的にデスビをチェックしましょう。
ローターを手で回して「カタカタ」と動けば大丈夫です。
ペンチなどを使わないと回らない・・という場合には即交換です。
ECU
ECU(コンピューター)もトラブルが多い部品です。
設置場所は助手席シートの裏、つまりシートとエンジンの間です。 エンジンの熱がECUに伝わり、コンデンサーがパンパンに膨れていたり、最悪の場合にはコンデンサーが破裂してしまいます。
エンジンの誤作動が多い場合はECUのコンデンサー破裂が原因の可能性があります。
対策としては、耐久性のあるコンデンサーに交換、社外コンピューターに交換、ECU取り付け時に ECUとボディーの間にダンボールや断熱材を挟む、などがあります。 また、ECU移設キットもありますので助手席の下へ移設する方法もあります。
ついでに、ECUと車を繋ぐハーネスについて。
この時期のホンダ車はハーネスのトラブルが多いようです。真夏の暑い日にエンジンをかけると 変な振動と共にエンジンストールし数秒から数分はエンジンがかからない状態になったりします。
ブレーキ
ブレーキバランスが変です。
少しブレーキを踏むと簡単にフロントタイヤがロックします。 慣れれば、ロックするかしないかの領域を見つけてコントロールできますが、慣れていない人はパニックに陥るかもしれません・・
バイク乗りなら理解できると思いますが、コーナー入り口で減速する時フロントよりも先にリアのブレーキを掛けると 車体が路面に張り付くのでフロントタイヤがロックしにくい現象があります。 ビートもバイクとMRですので同じ理屈が通用するのではないでしょうか? フロントタイヤのグリップが増す、すなわちアンダーステアの改善も得られるはずです。
ビートには前後のブレーキバランスを調整する機能はついてないので「前後のブレーキパッドを別の種類にする」のが手っ取り早いです。
ブレーキローターが純正のまま、もしくは減っているのなら一緒にローターも交換しちゃいましょう。 純正並みの価格で純正以上の性能を持ったローターなんかも発売されています。
ちなみに、ローターが減った状態でブレーキパッドだけ交換してもそれぞれの面が合っていないので 新品パッドでもその性能が活かされません。
パッド・ローターときたら、キャリパー強化・・と考えてしまいそうですが800kgの車体には必要ないと思います。 インサイト純正フロントキャリパー流用ネタもありますが、社外ブレーキパッドの種類が少ないので 「バネ下荷重の軽量化」くらいしか利点が思いつきません。 しかも、ビート用リアキャリパーの強化品が存在していないので、前後バランスは更に悪化するかと思われます。
(※悪化→性能は上がるが、誰でも乗りこなせる車ではなくなる)
「サーキットを走る訳じゃないし、公道ではブレーキ強化は必要ない」と考えている方。
公道はサーキットよりも急ブレーキを踏む危険な場面が多いです。
エアコン故障とオーバーヒート
ビートは高回転エンジンなのにも関わらず、普通の車の部品を流用している部分があります。
フィールドコイルもその一つで、トゥデイ等と同じものを使っています。 トゥデイの部品でビートの高回転に耐えられるか・・と言ったら答えは当然NOです。
ある程度は大丈夫ですが、常に高回転で走るような使い方をしているとこのフィールドコイルが焼き 、同じラインにあるラジエタ―も作動しなくなり、オーバーヒートする場合が多々あります。
エアコン周辺のランプ(ACスイッチや吹き出し口ランプ)が点灯しない場合は要注意です。
乗る時に毎回確認するようにしましょう。
オーディオ
盗難防止とデザイン面により、ビートのオーディオは専用設計。 ラジオかテープしか聴けません。
オプションでCDチェンジャーがありますが、ただでさえ狭いトランクが CDチェンジャーによりさらに狭くなります。 かと言って、市販1DINオーディオを取り付けるとなると、純正オーディオを外してフレームを切断する、 助手席前ダッシュボードにはめ込む、などありますがフレーム切断工賃が高かったり、 運転中ダッシュボードまで手を伸ばすのは危険だったりと「一長一短」な部分があります。
ガソリン
燃料タンクの容量が24Lしかありません。
ガソリンスタンドに行く回数は増えますが、燃費のいい車ですので
1ヶ月あたりの給油量はそんなに多くありません。