エンジンオイルの新規格「SP/GF-6」 その性能は?!

2022/02/14 ブログ

 

 

最近では、クルマはEVへとシフトしつつありますが、まだまだエンジンも現役です。


ハイブリット車もガソリンエンジンを搭載していますし、パワーや燃費といった技術の進化が求められるエンジンには、エンジンオイルの進化も欠かせません。


そんななか、2020年5月にエンジンオイルの新規格「SP/GE-6」が発表されました。新規格が登場したのは、10年ぶりのこととなります。


エンジンオイルの規格は、規定する団体によって細かな違いがありますが、おおよその目安というのがあります。


今回のブログでは、エンジンオイルとその新規格についてご紹介していきます。

 

 

 

 

 

エンジンオイルのグレードとは

 

 

エンジンオイルのグレードとは、オイルの品質や性能のことです。


ガソリンエンジン用のエンジンオイルの種類は「5W-40 SN」「5W-30 GF-5」などと表記されます。
このうち、グレード(規格)を表すのは「SN」「GF-5」の部分です。

 

オイル粘度 オイル規格(グレード)
5W-40 SN・GF-5

 

 

----API規格

「American Petroleum institute(アメリカ石油協会)」が規定するグレード。「SN」「SM」「CN」などの英字2文字で表記されます。
ガソリンエンジン用は頭文字が「S」からはじまり、ディーゼルエンジン用は「C」からはじまります。


「S」や「C」に続くアルファベットが細かいグレード規定で、進むほどに性能が高いことを示しています。

 

----ILSAC規格

「International Lubricant Standardization and Approval Committee(国際潤滑油標準化認証委員会)と呼ばれる日米の自動車メーカーが主体となった団体が制定している規格で、ガソリンエンジンの小型高出力化と省エネを両立させるためにできました。


これまで「GF-1」から順に「GF-5」までアップグレードされてきた歴史があります。

 

----ACEA規格

ドイツのBMWやVWグループをはじめとする欧州自動車メーカー15社が共同で設立した団体「Association des Constructeurs Europeens d’Automobiles(欧州自動車工業会)」が規定するグレードです。


アウトバーンのような高速・長距離走行でも性能を確保するように、省燃費性能より耐久性を重視する傾向があります。


ガソリンエンジン用は「Aカテゴリー」、軽負荷ディーゼル(普通車や小型トラック)用の「Bカテゴリー」、クリーンディーゼル用が「Cカテゴリー」、高負荷ディーゼル(中型・大型トラック)用を「Eカテゴリー」に分類。


それぞれのグレード対象エンジンを明記して、規格自体が更新されるスタイルを採用しています。

 

----JASO規格

日本の「自動車技術会(JSAE)」の「自動車企画組織(Japanese Automobile Standards Organization)」が制定する自動車や関連部品に関する規格です。


主にバイクの4サイクルエンジンや国産のクリーンディーゼルエンジンに使用されるオイルの規格として新たに使われています。


2005年に「DL-1」からはじまり、2021年には「DL-2」が制定されました。ちなみに高負荷ディーゼル(中型・大型トラック)用に「DH-2」という規格もあります。

 

 

 

 

 

新規格のオイルの登場

 

 

10年ぶりにSP/GF-6という新規格が規定されたのは、API規格では「SP」、ILSAC規格では「GF-6」という進化したグレードが誕生したということです。


新規格は総合的に性能が向上しているといわれていますが、APIは「SP」グレード、ILSAC規格では従来型のエンジン向けに「GF-6A」、省燃費型エンジン向けには「GF-6B」と分けられています。


そしてこのグレードは、さまざまなエンジン試験の結果で制定されており、試験内容がより厳しくなり、全体的な総合性能が向上しているのだそうです。


では、これまでの規格と比較して何がどう変わったのでしょうか。

 

 

----LSPIがほぼゼロ

LSPI(低速プレイグニッション)とは、点火前に燃料が着火してしまう異常燃焼のことで、直噴ターボエンジンの低速・高負荷運転時に発生します。


SP規格ではLSPIがほとんど起きにくくなり、いままでのエンジンオイルでLSPIが発生していた場面でも「GF-6」ではゼロに近い数字まで下げることができます。

 

----スラッジの清浄分散作用のアップ

エンジン内部にスラッジ(すす)がたまると、エンジンがスムーズに回転しなくなったり、調子が悪くなってしまいます。


街乗りメインの車はエンジンオイルの温度が上がりにくいため、スラッジが発生しやすいという欠点があります。SP規格のエンジンオイルは、街乗りがメインの車におすすめのオイルといえます。

 

----タイミングチェーンの摩耗

SP規格ではSN規格に比べて、タイミングチェーンを摩耗させにくくなっています。耐摩耗性は半分以下となり、エンジンそのものへの負荷が小さくなりました。

 

----燃費の向上

SP規格、GF-6規格ともに、使用した場合の燃費に向上が見られます。このほか、エンジン清浄性など多くの面でも新規格のほうが優れているため、エンジンオイルを選ぶ際は「SP」「GF-6」がおすすめといえます。

 

 

新技術が投入されたエンジンには、それに見合うだけの性能を持ったオイルが必要ということなのでしょう。

「省燃費性」と「清浄性」、「酸化安定性」に加え「タイミングチェーンの摩耗抑制」までをクリアし総合的にレベルアップさせたグレードがSP/GF-6といえそうです。

 

 

 

 

 

グレードによるオイルの選び方

 

 

API規格にしろILSAC規格にしろ、新規格のほうが性能に優れているので、そちらを選ぶのがおすすめです。


API規格の場合は、「SM」「SN」「SP」といったグレード表記の2つ目のアルファベットを確認しましょう。アルファベットがZに近いほど、新しい規格です。


ILSAC規格の場合は、「GF-4」「GF-5」「GF-6」いったグレード表記の数字を確認しましょう。数字が大きいほど、新しい規格です。

 

API規格 ILSAC規格 特徴
SH GF-1 1993年型以降のガソリンエンジンに対応。
スラッジ防止性・高温洗浄性を高め、
SG規格以上の性能を持つ。
SJ GF-2 1996年型以降ガソリンエンジンに対応。
SH規格以上の蒸発性、せん断安定性を持つ。
SL GF-3 2001年度に制定された規格。
SJ規格よりも省燃費性の向上とCO2の削減を達成。
排気ガスに含まれる、CO、HC、NOxの削減。
オイル劣化防止性能の向上で
廃油総量の削減と自然環境保護に対応。
SM GF-4 2004年に制定された規格。
SL規格よりも浄化性能・耐久性能・
耐熱性・耐磨耗性に優れるオイル。
SN GF-5 2010年に制定。
SM規格以上の省燃費性能の持続性と
触媒保護性能を強化したオイル。
SP GF-6 2020年に制定。
SN規格以上の耐久性やエンジン清浄性。

 

 

 

 

 

コンパクトカーや軽自動車にも効果的?!

 

 

「2015年式のトヨタ『ヴィッツ』に入れてみたのですが、滑らかな回転フィーリングやパワーの出方がスムーズになるなど、明らかに違っています。


またそれ以上に清浄性や劣化を抑える安定性が向上しているおかげでしょうか、メカニカルノイズも軽減しました。


ハイブリッド車向けには『GF-6B』がメインになってくると思われますが、同じようにスムーズさと省燃費性、劣化抑制による性能維持が期待できます」


という体験談があるように、コンパクトカーでそこまで違いが体感できるのであれば、ほとんどの普通車ならオイルによってかなりフィーリングの違いを体感できそうです。


では、軽自動車にもSP/GF-6グレードを入れれば効果は期待できるのでしょうか。


軽自動車に関してはそこまで高性能なオイルは必要ないかもしれません。


というのも、軽自動車のエンジンはそもそも排気量が660ccと定められており、最高出力も規制されているため、そこまでの違いを体感しにくいと思います。


ただホンダ『S660』や『N-ONE RS』、スズキ『アルトワークス』といった軽スポーツであれば、高回転域でのスムーズさやエンジンやタイミングチェーンに負荷がかかるスポーツ走行などで違いが体感できるかもしれません。

 

 

 

 

 

新規格≠すべてのクルマに最適

 

 

新しく高性能なオイルは必ずしも全部のエンジンに最適とはいえません。


旧車などはエンジンの設計年数も古いため、高性能すぎるエンジンオイルを使用するとオイル漏れなどを起こす可能性もあり、やはりクルマの製造年数に準じた「グレード」と「粘度」を選択する必要があるのだそうです。


最近人気になっているネオクラシック(旧車)にも新規格のエンジンオイルは不向きかもしれません。高性能すぎてエンジンとのマッチングも良くない可能性もあります。


当時のエンジンは当時のオイルの性能を考慮した作りになっており、現在の高性能オイルを想定していません。

 
パーツの精度なども当時と現在ではかなり違いますので、壊れないとしても期待するような効果が得られない可能性もあります。

 

 

 

 

 

最後に

 

 

今回のSP/GF-6に関しては、ハイパワーなスポーツカーだけでなく、10年落ち程度までの少し古めのクルマにはかなり効果は期待できそうです。


直噴エンジンがもてはやされたのが15年前くらいで、当時の性能は現在のレベルほどではないことを考慮すると、スラッジやススなども溜まりやすい傾向にあります。


その点、SP/GF-6では清浄性も高く、オイル自体の劣化による性能低下も抑えられているとのことで、SP/GF-6グレードのエンジンオイルを使用すると違いが体感できるかもしれません。


エンジンオイル選びのお悩みの方もいるかもしれません、その場合には主にカーショップなどで販売されている有名メーカーのオイル規格は最高グレードのものが多いので、グレードに関してはそこまで気にする必要はないでしょう。


格安オイルの場合は、グレードが低いもしくは記載されていない場合もあるので注意する必要があります。


エンジンオイルに詳しくない、こだわりがないという人は、有名メーカーのオイルを選んでおくと安心です。


ただし、エンジンオイルはグレードだけでなく、粘度も確認しましょう。寒冷地では低温時の粘度が低いオイルが、高回転・高出力エンジンは粘度の高いオイルが合っています。

 

 

 

 

 

 

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