ランフラットタイヤとは?! 普通のタイヤとどう違う?!
ひと口に自動車のタイヤといってもさまざまな種類があり、それぞれ特徴が異なります。
輸入車をはじめ様々なクルマに装着されている「ランフラットタイヤ」は、パンクによる事故を抑止したりスペアタイヤを用意する必要がなくなったりと、機能性の高いタイヤの一つです。
今回のブログでは、ランフラットタイヤの特徴やメリット・デメリット、注意点などを解説します。
ランフラットタイヤとは?!
ランフラットタイヤとは、パンクして空気が抜けても一定距離を一定速度で走行できるよう設計されているタイヤです。
タイヤの側面(サイドウォール)が強化されており、空気圧がゼロでもクルマを支えられる仕組みです。急なパンクが起こっても、車体バランスが崩れません。
一般的なタイヤがパンクすると空気が抜けてぺしゃんこになり、走行不能に陥りますが、ランフラットタイヤであれば、タイヤトラブルが発生しても最長100km先まで走行できます。
※空気が抜けてから走行できる距離や速度はタイヤメーカーにより異なります。
その場で修理しなくても良いので、最寄りのガソリンスタンドなどタイヤの修理できる施設まで移動でき、急なトラブルを回避できるのが最大のメリットです。
また、走行中の急なパンクでの操作不能による事故を防いだり、周囲の車両や後続車両に損害を与えるリスクを減らせます。
ランフラットタイヤのメリット
ランフラットタイヤを使用するメリットは大きく3つ挙げられます。以下でそれぞれ解説します。
----パンクによる事故を抑止できる
大きなメリットとして、まずパンクによる事故を防げる点が挙げられます。
パンクによって空気圧が不足すると地面からの衝撃が吸収ができなくなるため、車体に伝わる振動によってハンドル操作が重くなります。
また高速走行時にパンクしてしまった場合は「スタンディングウェーブ現象」が発生する可能性があり、最悪の場合タイヤのバーストによって事故に至る危険性もあります。
パンク後も車体バランスを保てるランフラットタイヤは、その車両・運転手を守ることはもちろん、後続車両などを巻き込む事故リスクも減らします。非常に安全性能が高いタイヤだといえるでしょう。
また、パンクしてしまったとしても、時速80kmほどで約80km~100kmの走行が可能です。焦ることなく、安全な停車場所や近くのガソリンスタンド・修理工場まで移動できます。
----スペアタイヤの搭載が必要ない
スペアタイヤを普段、クルマに載せておく必要がなくなり車内の空間をより大きく取れるようになるのもメリットです。
パンクするとすぐに走行不能になってしまう一般のタイヤと異なり、ランフラットタイヤの場合はそのまま走行可能です。そのため、わざわざスペアタイヤを用意しておく必要がありません。
----地球環境に優しい
スペアタイヤを搭載しないことで、CO2の排出量が減らせるメリットもあります。
一般的なスペアタイヤの重量は10kg程度です。これを降ろすことで車体重量が軽減され、そのぶん燃費が向上するほか、CO2の排出量も抑えられるといわれています。
また、クルマに積まれているほとんどのスペアタイヤが、未使用で廃棄されているという事実もあります。ランフラットタイヤを用いることによりタイヤの無駄な廃棄を減らし、環境にも貢献できるといえるでしょう。
ランフラットタイヤのデメリット
事故の防止・環境への配慮など多くのメリットがある一方で、デメリットもいくつかあります。メリット・デメリット両面を把握したうえで、使用を検討してみてください。
----価格が高い
大きなデメリットとして挙げられるのが、価格の高さです。
特別な性能のないタイヤであれば1本3,000円~6,000円ほどで購入できますが、生産コストの高いランフラットタイヤの場合、安くても1本2万円~3万円ほどかかります。
また、ランフラットタイヤの交換作業は特殊な工具や技術が必要なため、その費用も約2,000円~5,000円程度割高になる傾向があります。現在よりも出費が多くなることは、きちんと把握しておきましょう。
----乗り心地が悪化する可能性も
ゴムの弾性が少なく(硬い)、段差を通過する際に衝撃を受けて乗り心地が悪くなります。
車体が段差を通過することで発生する衝撃は、タイヤのゴムが変形することで吸収されています。ところがランフラットタイヤに用いられるゴムは通常のタイヤよりも硬いため、衝撃吸収が少なくなってしまいます。
加えて、側面の補強による重量増加の影響でサスペンションが動きづらくなることから、「乗り心地が硬い」と感じるかもしれません。
ランフラットタイヤが標準装着のクルマであればこの影響は少ないですが、もともと一般的なタイヤで走行していた場合は注意が必要です。
----取扱店が少ない
通常のタイヤと異なり、ランフラットタイヤの交換作業には特殊な工具や技術が必要です。そのため、取り扱い業者が限定されてしまうデメリットがあります。近くのお店で交換したい場合も、対応してもらえるとは限りません。取り扱いがあるかどうか、確認する手間や時間が必要となるでしょう。
ランフラットタイヤの見分け方
国内外の様々なタイヤメーカーがランフラットタイヤを製造していますが、それぞれでブランド名や呼称、タイヤに刻印する記号が違います。
下に各タイヤメーカーによるランフラットタイヤの呼称を記載します。
・ブリヂストン「RFT(Run-Flat Technology)」
・ミシュラン「ZP(ゼロプレッシャー)」
・コンチネンタル「SSR(Self Supporting Runflat tyres)」
・グッドイヤー「EMT(Extended Mobility Technology)」
・ピレリ「r-f(RunFlat)」
・ヨコハマタイヤ「ZPS(Zero Pressure System」
・ダンロップ「DSST(DUNLOP Self-Supporting Technology)」
----ランフラットタイヤの刻印
ランフラットタイヤにはタイヤの側面にランフラットタイヤであることを示す刻印が入っています。
また、タイヤの回転方向マークによく似た、ランフラットタイヤのシンボルマーク(ISO規格)の有無でも判別できます。
ランフラットタイヤを使用する場合の注意点
安全で環境に優しいランフラットタイヤですが、使用する際の注意点が3つあります。
----TMPS・専用ホイールが必要
ランフラットタイヤを取り付けるには、TMPSおよび専用ホイールが必要です。
TMPS(Tire Pressure Monitoring System)とは、空気圧センサーのこと。ランフラットタイヤは空気が抜けても外見で判別しにくく、パンクしても一定距離は走行可能なため、ドライバーに空気圧の低下を知らせるセンサーが必要となります。
また、専用ホイールは、タイヤがパンクして変形しても外れにくい特殊な構造です。
普通のホイールでもランフラットタイヤの装着は可能ですが、万が一の際の外れにくさや交換時の脱着性などから、タイヤメーカーは専用ホイールの使用を推奨しています。
----パンク修理は原則不可
ランフラットタイヤは、基本的にパンク修理が不可能です。パンクしても見た目は大きく変わりませんが、ゴムの劣化など、内部が損傷している可能性が高いためです。
パンク修理を行なって内部に空気を入れると、タイヤが破裂する恐れもあります。そのため修理はせずに、新品に交換しましょう。
----性能を過信しない
安全性能に優れたランフラットタイヤですが、過信は禁物です。
ランフラットタイヤは、パンクして空気圧がゼロになっても走行が可能ですが、これはあくまで緊急時に事故を防ぐための性能です。やむを得ない場合に備えた技術のため、そのまま何の問題もなく走行できるわけではありません。
当然、正常時よりも走行性能は低下するため、急発進・急ブレーキ、急旋回などは避け、なるべく早く安全な場所へ移動し、停車するようにしましょう。
ランフラットタイヤ装着車にノーマルタイヤを装着してもいいの?!
新車時にランフラットタイヤが装着されているクルマに通常の非ランフラットタイヤを装着してよいか、というご質問をよくいただきます。
結論から言うと、装着しても問題ありません。
正しいサイズで、お車にマッチしたタイヤであれば装着しても良いでしょう。
もちろん車検も問題なく通すことができます。
その場合下記のような点に注意してください。
・スペアタイヤがないこと
・乗り心地が変わること
・タイヤの性能がかわること
メリットとしてあげたように、ランフラットタイヤ装着車にはスペアタイヤが搭載されていません。
そのため通常のタイヤを装着してパンクしてしまうとクルマを動かすことができなくなってしまいます。
レッカーを依頼する際の連絡先の確認や、パンク修理キットをトランクに載せておくなど、準備をしておくことをおすすめします。
また、デメリットであげたようにランフラットタイヤは少々硬めの乗り心地となります。
クルマはランフラットタイヤに合わせた足回りの設定になっていますので、より柔らかいノーマルタイヤを装着すると今までとは大きく乗りあじに変化を感じると思います。
また当然タイヤの種類が変われば燃費、グリップ、制動力、静粛性など様々な性能が変わってきます。
最後に
ランフラットタイヤは、パンクしてしまったあとでも走り続けることができます。すぐに走行不能にはならないため、後続車などを巻き込んだ事故を起こしにくいのが大きなメリットです。パンク後も慌てることなく安全な場所に移動したり、修理工場へ行ったりできるので安心して使用できるでしょう。
また、スペアタイヤが不要になるため、車内スペースを確保しやすく、環境に優しいことも魅力の一つ。
一方で、普通のタイヤよりも高価であるほか、乗り心地が悪くなる場合もあるといったデメリットもあります。
メリット・デメリット両面を把握したうえで、愛車に最適なタイヤを選んでください。
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