エアロパーツとは?! どんな特徴があるのか
「エアロ」という言葉を目にするかもしれませんが、具体的にクルマのどのパーツを指しているのか疑問に思ったことはないでしょうか。
エアロとはエアロパーツのことです。
エアロパーツといっても、性能や好みによって取り付ける場所もパーツも異なります。
クルマの見た目をアレンジしたい、クルマの性能を高めたいという人に注目されるパーツでもあります。
今回のブログでは、このエアロパーツについてご紹介していきます。
エアロパーツとは?!
エアロはクルマに装着される空力パーツです。例えば、バンパーやトランクに取り付けられるスポイラーなどが該当します。
略して「エアロ」と呼ばれることが多いのですが、正しくは「エアロパーツ」であり、英語にすると「Aero Parts(空気・部品)」となります。
日頃の生活では、それほど空気抵抗を気にすることはないかもしれませんが、クルマは高速道路で時速100km近いスピードを出す乗り物です。空気をきれいに流すことによって燃費が向上したり、空気の力で押さえつけてクルマを安定させたりと、空気を味方につけることには想像以上の効果があります。
エアロパーツは、低燃費化に重点を置いている現在の車事情からしても、非常に重要なパーツの一つといえるでしょう。
ここでは、代表的なエアロパーツである「フロントスポイラー」「サイドスカート」「リアスポイラー」の概要をまとめていきます。
----フロントスポイラー
ボンネットの上部に抜ける気流を調節し、エンジンを冷却するのと同時に、車体が浮き上がるのを抑える効果を狙うエアロパーツです。
車体の下部に空気が流れ込まないようにして、フロントバンパー裏側の空気の圧力を下げ、フロント側の揚力を減らし、ダウンフォースを得ます。
ダウンフォースとは下向きに押し付ける力のことで、この力によって直線もコーナーも走行がより安定するのです。
フロントバンパーと一体型のバンパースポイラー、そしてバンパーの下部に取り付けるリップスポイラーというタイプがあります。
バンパー一体型のエアロパーツは、放熱装置であるラジエーター(クルマのフロント部分に取り付けられ、エンジンの冷却している部品)の開口部も大きくなっていますので、冷却性能の向上も期待できます。
----サイドスカート
車体の両サイドに付けるエアロパーツです。フロア下に流れ込む横からの空気を後方に流し、走行の安定性向上を狙ったものです。
市販車は最低地上高が高いので、空力的な効果は車体前後のスポイラーほど大きくありません。装着すると車高が低く見えるので、クルマのドレスアップ効果は大きいでしょう。
----リアスポイラー
車体の後方上部に付けるエアロパーツです。後方にできる気流を抑えて後輪のグリップ力を上げて加速を良くし、燃費を高める効果が期待できます。
エアロパーツの種類は大きく2タイプ
エアロパーツは本来、空気抵抗を減らすことなどを考えて作られたパーツですが、見た目も大きく変わるのでドレスアップ効果ももたらします。そのため、エアロの種類は大きく2タイプに分かれます。
----レーシング用
こちらは、本来の用途である空力性能に重点を置いて設計されたエアロパーツです。
レーシングカーは、大きく張り出したワイドフェンダーや巨大なGTウイング、複雑なフロントバンパーなど、一般的な乗用車とはまったく異なる造形をしています。このようなレーシング用のエアロパーツは、本来の用途どおり空気を味方につけるために装着されるものです。
空力に重点を置いたエアロパーツは、レーシングカーだけでなく一般的な乗用車向けにも販売されています。装着することで高速域での安定感向上などの効果があるので、高速道路を走ると、特にその効果を感じられるでしょう。その他に、サーキットで走行会に参加するような方にもおすすめです。
----ドレスアップ用
こちらは性能よりも見た目重視のエアロパーツです。レーシング用に比べてさまざまなデザインがあるので、デザイン上の好みを追求したいという方におすすめです。
ただし、なかには取り付けることで燃費が下がったり、空力特性が低下したりするものもあるので、選ぶ際は慎重に吟味しましょう。
エアロパーツは下火になってきている?!
1980年~1990年代頃はエアロパーツが流行していましたが、近年はエアロパーツを後付けするクルマは年々減少傾向にあります。
当時は落ち着いたデザインのクルマが多く、ノーマル状態では、悪くいえば野暮ったいデザインでした。そのため、社外品のホイールやエアロパーツを取り付けることによって一気にスポーティな雰囲気にできるという、そのギャップに魅力を感じるユーザーが多かったのです。
つまり、当時は空力のためというよりも、ドレスアップがおもな目的でエアロパーツを装着していました。実際、メーカー純正のものを除けば、かえって空気抵抗が増大してしまうエアロパーツも珍しくなかったのです。
しかし、やがてドレスアップブームが去り、時代はエコカーへと移り変わっていきます。
エコカーの多くは、もともと空気抵抗を極限まで減らすデザインとなっています。そのため、下手にエアロパーツを取り付けると、燃費が悪化してしまう恐れがあります。
また、そもそも経済性を重視してエコカーに乗るユーザーが多く、「エアロパーツで不必要なコストをかけたくない」という方が増え、今ではノーマル車が大半となりました。
このほかに、エアロパーツの後付けの減少には以下のような理由もあります。
・標準装備でエアロパーツが装着されている
・バンパーに取り付けられたセンサー類などの問題で装着が難しい車体が増えた
エアロパーツのメリットデメリット
エアロパーツにはどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
----メリット
高速走行時にダウンフォース(クルマを道路に押さえつける力)を得ることで、走行を安定させることができます。直進走行時だけでなく、カーブ走行や高速から急減速の際にも効果を発揮します。
また、車種に適合した性能を備えたエアロパーツは、燃費改善効果も期待できます。
多くのエアロパーツはデザイン性が考慮されているので、装着することでクルマのスポーティさや高級感が増すといったドレスアップ効果があり、ドライブ時の気分が上がることは間違いないでしょう。
----デメリット
エアロパーツは、80~100キロ以上の速度で走行しないと、なかなか効果を実感できないのが現実です。日常の走行で効果を実感するのは難しいでしょう。
ドレスアップ効果に重点を置きすぎたエアロパーツは空気抵抗を増してしまう場合もあり、当然、燃費に悪影響が出てしまいます。
また、追加したパーツの分だけクルマの掃除箇所が増えるので、掃除が苦手な方にとっては面倒が増えることになってしまいます。装着の仕方に不備があると、脱落や車体の破損といった危険性がありますので、装着には十分な配慮が必要です。
さらに、パーツの種類や位置によっては洗車機で破損させてしまう恐れもあります。洗車機に通せるかどうか、事前に確認しておきましょう。
「一般道の利用がほとんど」という人にとって、空力的なメリットを感じる状況はほとんどないかもしれません。そのような場合は、ドレスアップのためのパーツと割り切って考えた方が良いでしょう。
エアロパーツ購入時の注意点
エアロパーツを実際に購入する際は、いくつか注意すべきポイントがあります。購入後に悔いることがないよう、事前に確認しておきましょう。
----車体と同じ色に塗装されているか
未塗装のエアロパーツを購入した場合、塗装料金が別途かかります。最初から純正のボディカラーに塗装されたエアロパーツも販売されており、そちらのほうがおすすめです。
ただし、すべての純正カラーに対応しているとは限らないので、事前に確認しておきましょう。
----純正メーカーのパーツであるか
社外品のエアロパーツのなかには、デザインを優先した結果、車高を上げないと段差で擦ってしまうものもあります。車高を上げると、せっかくのドレスアップ効果が損なわれることにもなるので、注意が必要です。
純正メーカーのエアロパーツであれば、走行に支障が出ないように設計されているので、取付け後のトラブルが心配な方は純正をおすすめします。
----造形の自由度が高い素材か
エアロパーツの多くはFRPという素材でできていますが、なかにはウレタンやABS樹脂の製品もありします。ウレタン製やABS樹脂製のものは高い精度を持ちますが、その代わりに破損した際の修復が困難です。
必ずしもFRPが優れているわけではありませんが、「デザイン重視なので下側を擦ってしまうかも……」などと修復する可能性がある場合は、造形の自由度が高いFRP製のエアロパーツをおすすめします。
エアロパーツの後付け時に注意するべきこと
エアロパーツには保安基準があり、取り付け方によっては車検に通らないリスクがあります。せっかく取り付けたのに、車検時に取り外さなければならない事態を防ぐためにも、保安基準はしっかりと確認しておきましょう。
エアロパーツの保安基準を一部紹介します。
・最低地上高9cm以上であること
・長さ±3cm、幅±2cm、高さ±4cm、重量は軽自動車・小型自動車は±50kg。普通乗用車は重量±100kgまでであること
・自動車の最前端、最後端および最外側となっていないこと
・翼状のオーバーハング部(ウイング)を有していないこと
・半径が2.5mm未満の角部を有さないものであること
・車体に確実に取り付けられている構造であること
最後に
エアロパーツは、燃費向上、冷却機能アップ、ドレスアップ効果が期待できる魅力的な装備です。
一方で、日常走行ではデザイン性以外のメリットが感じにくいという面があります。エアロパーツ装備を検討するときは、その概要とメリット・デメリットを理解したうえで、本当に自分にとって必要かどうかをしっかり見極めましょう。
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