ロータリーエンジンとは?! その仕組みとメリット

2022/08/25 ブログ

 

 

クルマのエンジンにはいくつかの種類があり、構造や仕組み、走行速度、燃費の良さなどが異なります。なかでも特に根強いファンを持っているエンジンが、ロータリーエンジンです。


ロータリーエンジンは、一般的なガソリンエンジンとは異なる方法でエネルギーを作り出す特性を持っています。


近年では、クルマのエネルギーとして、環境に優しい水素を活用しようという動きが活発化しており、水素との相性が良いとされるロータリーエンジンへの期待が高まっています。


小型で軽量、シンプルな構造という特徴を備えたエンジンといわれていますが、普通のエンジン(レシプロエンジン)とはどのような違いがあるのでしょうか。


今回のブログでは、ロータリーエンジンの特徴やメリット・デメリット、エンジンで重要な役割を果たすエンジンオイルの概要、ロータリーエンジンの故障の原因や対処法についてご紹介していきます。

 

 

 

 

 

ロータリーエンジンとは?!

 


ロータリーエンジンとは、三角形のおむすび型をした回転子(ローター)が回転することにより発生するエネルギーを利用したエンジンです。「RE」と略されることもあります。


一般的なガソリンエンジン(レシプロエンジン)は、密閉された空間で燃料を爆発させ、その力でピストンを往復させることによって動力を作り出します。往復の直線運動を回転運動に変換して動力としているレシプロエンジンとは異なり、ロータリーエンジンは回転運動をそのまま動力としているため、基本構造がシンプルです。


日本では、自動車メーカーのマツダが積極的にロータリーエンジンの開発を進め、特許を多数所有しています。しかし、2012年に生産されたマツダの「RX-8」を最後に、ロータリーエンジンを搭載したモデルは生産されていません。ロータリーエンジンは燃費が良いとはいいがたく、レシプロエンジンが広く使われているためです。


なお、ロータリーエンジンは、クルマだけでなくバイクにも搭載されていました。ロータリーエンジンを搭載したバイクとしては、スズキの「RE-5」やハーキュレスの「W-2000」が有名です。

 

 

----ロータリーエンジンの構造

ロータリーエンジンは、二つの円を重ね合わせたようなまゆ型のハウジングと呼ばれる部分と、ハウジングの内側にあるローターで構成されています。


ハウジングとローターの間に形成された作動室の中で燃料と空気の混合気が燃焼し、その膨張圧力でローターを回すしくみとなっています。

 

 

----ローター回転の原理

ロータリーエンジンの回転運動は、おむすび型の三角形のローターの一辺に膨張ガスが作用し、ロータリーエンジンの偏心軸の中心に圧力がかかることで発生します。


ロータリーエンジンの偏心軸の作用によって直接ローターを回転させ、そのローターの回転が再び偏心軸を回転させる循環によってエンジンが作動し続けるしくみです。


従ってロータリーエンジンには、上下運動は存在しません。

 

 

 

 

 

ロータリーエンジンの特徴

 


レシプロエンジンとは違う回転の原理で動くロータリーエンジンは、以下のような特徴があります。

 

 

----シンプルな構造

ロータリーエンジンは、ローターと偏心軸の働きを主力にして、混合気の膨張圧力を直接回転力に変えるため、レシプロエンジンで必要とされるバルブ機構(タイミングベルト、カムシャフト、ロッカーアーム、バルブ、バルブスプリング)の部品が不要となります。


そのため、ロータリーエンジンは、レシプロエンジンよりも基本構造がシンプルで合理的にできています。

 

 

----小型で軽量

シンプルで合理的なロータリーエンジンは、部品が少なく、エンジン自体が小さくて、軽いのが特長です。


同程度の出力とトルク特性を持つレシプロエンジンと比べると、重量と大きさがともに3分の2程度となります。

 

 

----変動の少ないトルク特性

レシプロエンジンがピストンの往復運動によって生じる慣性力でトルク変動を起こしているのに比べ、往復運動を伴わないロータリーエンジンは、比較的変動の少ないトルク特性を備えています。

 

 

----振動や騒音が少ない

現在製品化されているロータリーエンジン車のエンジンは、ヴァンケル式ロータリーエンジンといわれるものですが、振動の制御の面などは未だ開発途上にあるといわれています。


しかし、振動発生源であるピストンの往復運動を伴うレシプロエンジンに比べ、スムーズな回転運動のロータリーエンジンは、比較的振動が少ない特性があります。


また、吸排気のバルブ機構を伴わないため、騒音の発生が少ない特長があります。

 

 

 

 

 

ロータリーエンジンのエンジンオイル

 


ロータリーエンジンは、ハウジング内の潤滑のためにエンジンオイルが欠かせません。燃料と一緒にエンジンオイルも燃焼させる仕組みのため、エンジンオイルが通常よりも高温になりやすい特徴があります。よってロータリーエンジンを搭載している車は、ラジエーターの下にオイルクーラーを組み込むことで、エンジンオイルの温度を下げています。


また、ロータリーエンジンは高出力のため、エンジンの熱を吸収するエンジンオイルの役割が大きくなります。品質の低いエンジンオイルは、故障や寿命を縮めることにつながるので、メーカー指定・推奨のエンジンオイルを使用しましょう。

 

 

 

 

 

ロータリーエンジンの故障の原因と対処法

 


ロータリーエンジンが故障する原因の多くは、カーボンデポジットによる不具合か、コンプレッションの低下です。ここでは、それぞれの現象が発生する原因と対処法について解説します。

 

 

----カーボンデポジット

カーボンデポジットとは、エンジンオイルが燃焼した際に発生する燃えカスのことです。カーボンデポジットがエンジンの部品に付着すると、動きを阻害する原因になります。カーボンデポジットが発生しやすいエンジンオイルは、ポリマーと呼ばれる粘度を高める添加物が多く配合されています。


カーボンデポジットによる故障のリスクを下げるためには、メーカー指定の高品質なエンジンオイルを使用し、こまめにエンジンオイルやフィルターの交換を行うことが大切です。

 

 

----コンプレッション(燃焼質の最高圧力)の低下

コンプレッションの低下も、ロータリーエンジン特有のトラブルです。通常、ハウジングとローターの間にある空間(燃焼室)では十分な気密性が保たれていますが、ススなどの異物が混入すると気密性が低くなり、燃焼室の圧力が低下します。これにより、エンジンの始動が悪くなるなどの症状が現れます。


コンプレッションが低下している場合は、エンジンを分解して整備、修理するオーバーホールを行うか、エンジンそのものの交換が必要です。ただし、交換用のロータリーエンジンはあまり多く生産されておらず、基本的にはオーバーホールで対処することになります。ロータリーエンジンのオーバーホールは専門知識を要するため、ロータリーエンジン搭載車の修理に詳しい専門店に依頼しましょう。

 

 

 

 

 

ロータリーエンジン搭載車

 


ロータリーエンジンは上述のように、シンプルな構造に、小型・軽量であるなどのメリットがあります。


このため、省エネや環境保全、非常時の電源確保などのエネルギー源の問題解決にとって有効と考えられ、これまでさまざまな研究が重ねられ、一部実用化を経ながら現在に至っています。

 

 

----マツダなどのロータリーエンジン車

1967年には日本の大手車メーカーであるマツダが、世界初の2ロータエンジン搭載車であるコスモスポーツを発売し、2012年の「RX-8」までロータリーエンジン搭載車を製作販売していました。

 

 

----バイクにも搭載されていたロータリーエンジン

1970年代にはロータリーエンジンを搭載したバイクも世界的に製造、販売されていました。


ドイツのハーキュレスW2000や国産ではスズキのRE5などが有名です。

 

 

 

 

 

水素エンジンの開発で再注目される

 


2012年に生産を終了したマツダの「RX-8」以降、ロータリーエンジンは過去の技術として扱われていましたが、近年水素エンジンの開発が進むにつれてロータリーエンジンに再び注目が集まっています。


現在、日本では温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の達成に向け、電気自動車(EV)の開発が進んでいます。その開発と同時に進められているのが、エンジンを搭載しながら二酸化炭素を排出しない、水素を燃料としたエンジンの開発です。


水素はガソリンよりも非常に着火しやすく、レシプロエンジンではバックファイア(過早着火)と呼ばれる現象が起きやすいため、これまでレシプロエンジンによる水素燃料の実用化は難しいとされてきました。


その点、ロータリーエンジンは、水素を燃料とした場合でもバックファイアが起きにくい構造です。クリーンエネルギー活用が叫ばれる昨今、水素ロータリーエンジンの開発には、期待が高まっています。


また、水素ロータリーエンジンを発電機として使用し、電気でクルマを駆動させる「レンジエクステンダーEV」も注目を集めています。ロータリーエンジンはレシプロエンジンと比較して軽量・コンパクト・低騒音・低振動のため、モーター走行と相性が良く、発電用エンジンとして電気自動車に搭載する開発も進められています。

 

 

 

 

 

最後に

 


ロータリーエンジンは、ピストンの往復運動によって作られるエネルギーで駆動するレシプロエンジンと違い、ローターといわれる三角形のおむすび型をした回転子の回転運動で駆動するエンジンです。


世界的にエネルギー問題をかかえる昨今、ロータリーエンジンのシンプルかつ小型・軽量などの特徴が注目され、実用化を経ながら開発が進められてきました。


2012年を最後に、ロータリーエンジンを搭載した自動車の生産は行われていませんが、シンプルな構造・軽量・低振動・水素燃料との相性の良さなどから、近年では水素ロータリーエンジンの開発に期待が高まっています。カーボンニュートラルな社会を目指すうえで、ロータリーエンジンは今後注目のエンジンといえるでしょう。

 

 

 

 

 

 

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