クルマが真っ直ぐに走らない 原因と対処法
クルマにおいて、最も基本的な動きである「直進」
あまりにも基本的な動作のため、できて当たり前のように思ってしまいがちですが、実際には風や路面、先行車両や対向車との距離調整など目まぐるしく変化する状況に対応することが求められるだけでなく、ドライバーの運転のクセやパーツの経年劣化や故障なども影響してくるため、常に安定してまっすぐ進むということは容易なことではありません。
今回のブログでは、まっすぐ走らない原因やその対処法、修理などについてご紹介していきます。
真っ直ぐ走らない原因とは
実は、重量のあるクルマをまっすぐ走らせるのは容易ではありません。タイヤやホイール、サスペンション、ボディなど、クルマ全体のバランスが絶妙に取れてこそ、初めてまっすぐ走れるようになります。
これは理想的な道路コンディションであるときの場合で、実際の道路には傾きや凹凸があり、どんなに正しいバランスでもクルマは左右どちらかに流れるものです。風の影響も少なからずあるでしょう。ただし、これくらいは想定内であり、ドライバーも無意識のうちにハンドル操作で修正するため、まっすぐ走っているように感じられます。
問題は意識してハンドル操作しないと、まっすぐ走らない場合です。これは明らかにクルマ全体のバランスが崩れているか、足回りに直結する部分に異常をきたしている可能性があります。ゆっくり走っている分には問題ありませんが、スピードが出ているときに急なハンドルさばきをしても、クルマを思った方向に進められず、大事故につながるかもしれません。
クルマは長く乗っている間にバランスが崩れていくものです。縁石やクルマ止めにぶつけるだけでも、崩れてしまいます。ドライバーが異常を感じられなくても、専門家が点検すれば、実はまっすぐ走れていないことが分かるでしょう。
クルマがまっすぐ走らないのは、以下の原因が考えられます。
----タイヤの空気圧のバラつき
すべてのタイヤで空気圧を揃えても、走っているうちに自然と抜けて、バラバラになってしまいます。空気圧が低下すると、タイヤの道路に接する面が増え、抵抗も大きくなります。そうなると抵抗が大きいほうへハンドルをとられてしまい、まっすぐ走れません。
空気圧の低下はタイヤの摩耗が偏ったり、燃費が悪くなったりする原因にもなります。月に1回くらいはガソリンスタンドなどで調整してもらいましょう。無料か数百円程度です。また摩耗の偏りは、1万キロ走るたびにタイヤの位置をローテンションすると防げます。
----ホイールアライメントの狂い
ホイールアライメントとは、ボディに対するホイールの位置や方向、車軸の角度などの調整(Alignment)具合のことです。これらは、ちょっとした衝撃を受けるだけで狂ってしまいます。
ホイールアライメントは、複数個所の角度の組み合わせが適切なときに、本来の走行性能を発揮できます。そのため、調整には専用のテスターが必要です。どこで調整するかにもよりますが、1~3万円ほどかかります。もしサスペンションの故障があれば、調整中に気づくでしょう。その場合は、さらに数万円ほど必要です。
----ボディの歪み
最近のクルマは「モノコック構造」といって、事故の衝撃をボディ全体に分散して安全性を高めるようになっています。一方で簡単に歪みやすいのが欠点です。ボディが歪んでしまうと、どんなにホイールアライメントが正しくても、まっすぐ走れなくなってしまいます。事故歴のあるクルマで不具合が出やすいのは、そのせいです。
ボディの歪みを直すには、クルマを大がかりな修正機にセットし、メーカーの寸法図に基づいて1ミリ単位で調整しなければいけません。それでも完璧に直すのは難しいものです。費用は数十万円から数百万円かかります。
----ブレーキの不具合
クルマのブレーキは、配管方式によって油圧の伝わり方が異なります。このうちX配管は、前の左タイヤと後ろの右タイヤ、前の右タイヤと後ろの左タイヤへ同時にブレーキが効く方式です。どちらか片方の系統が故障しても、もう片方で確実に止められるようになっています。
それゆえ故障に気づきにくく、走り続けるうちにタイヤの摩耗が偏りだし、まっすぐ走らない原因になります。まっすぐ走らない上にブレーキの効きが悪いときは、こうした不具合を疑ってみましょう。ブレーキオイルの交換やエア抜きだけで済めば、費用は数千円程度です。
----ステアリングの位置ずれ
ステアリングの交換が原因になる場合もあります。中心からずれた状態で取り付けると、まっすぐ走るにはステアリングを傾けたままにしなければいけません。中心を確認した上で取り付けし直せば解決しますが、個体差によって、どうしてもずれる場合もあります。そうなるとタイロットという足回りにある部品の調整が必要です。
自分で取り付け、修正できますが、数千円から1万円くらいかけても、業者に依頼したほうが安心でしょう。
他にもパワーステアリングなら、オイルや電気系統の不具合により、まっすぐ走れなくなっている可能性も考えられます。修理代は数万円から10万円くらいです。
----レーダーやセンサーの故障
最近のクルマには運転をアシストするレーダーやセンサーが随所に取り付けられています。その中にはクルーズコントロールやレーンキーピングアシストのように、進行方向をコントロールするものもあります。正しく作動しないと、クルマがまっすぐに走らないこともあり得るでしょう。電気系統の故障ですから、修理は大がかりになるかもしれません。
真っ直ぐに走らないと感じたら・・
クルマが真っ直ぐ進まない・・と感じたときの対応策について見ていきたいと思います。
まず、「あれ?なんかおかしい」と感じたときは、例えば、振動が出た状況、道路の状況、コーナーでの旋回時の状況などを確認し、メモなどに残しておきましょう。(スマホのメモアプリなどに箇条書きでOKです)
後で、ディーラーや信頼できる整備工場で状況を正確に伝えるために必要になりますし、プロのスタッフであれば、どんな状況でまっすぐ進まなかったのかが分かれば、ある程度まで、原因を特定できる可能性が高くなるからです。
また、より正確な原因究明をしたいという方は、メーカー専用の検査機器がある修理工場であれば、OBD2などにより内部データによるエラーなどを検出できますので、メーカー専用の検査機器を持っている工場やディーラーへ依頼した方がいいでしょう。
修理をするか乗り換えるか
クルマが真っ直ぐ走らないのが空気圧の調整やブレーキオイルの交換程度で済むなら、費用は数千円程度なので、すぐにでも改善したほうがいいでしょう。けれどもホイールアライメントの調整やサスペンションの修理には数万円くらいかかりますし、ボディの歪みを解消するとなれば数十万円です。
なので、クルマを購入してから年数が経っており、買い替えを検討しているなら、修理するよりも新車への買い替えを行った方が長い期間で考えればコスパに優れる選択になるでしょう。
最後に
クルマの基本動作である「直進」にトラブルが発生するというのは、走行距離や年数次第ではありますが、不具合や故障が広範囲に渡って発生している可能性は決して低くはありません。
特に走行距離が長くなっていたり、発売からかなりの年数が経過しているクルマの場合には「寿命」を迎えている可能性もありますので、修理費用にもよりますが、クルマの買い替えなども天秤にかけながら、冷静に検討したいところです。
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