エンジンオイルの入れ過ぎ どうなる?!対処法は?!
「エンジンオイルを入れ過ぎてしまったけど、大丈夫かな…」
「オイルを入れ過ぎた場合は、どの様に対処すればいいの?」
調整ミスでオイルを規定の量より多めに入れてしまったら、エンジンにどんな影響が出るのか不安になりますよね。
エンジンオイルの入れすぎは、燃費の悪化や白煙の発生などのさまざまなトラブルの原因となります。
しかし、これらのトラブルとエンジンオイルの量が関係していることは意外と知られていません。
今回のブログでは、エンジンオイルの概要や対処法、確認方法についてご紹介していきます。
エンジンオイルとは?!
エンジンオイルとはクルマに必要な潤滑油のことです。また、エンジンオイルは潤滑油以外にもさまざま役割があります。
エンジンオイルがクルマにとってどれだけ欠かせないものなのかを理解するためにも、それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
----エンジンオイルの役割
エンジンオイルの主な役割は「エンジン内部の潤滑」です。油膜を張ることで動きを滑らかにし、エンジン内部に起きている金属同士の摩擦を防ぐ働きがあります。
また、エンジン内部の金属を洗浄する効果もあり、錆び止めもエンジンオイルの役割です。さらに「清浄分散」「冷却」「密封」といったさまざまな役割を果たします。
----車種によって規定のオイル量がある
軽自動車や普通車など、車種によってエンジンの種類や大きさは異なります。エンジンが大きいほどエンジンオイルの量は多くなり、反対にエンジンが小さければエンジンオイルの量は少なくなります。
そのため、車種によって規定のオイル量が異なることを理解しておかなければなりません。車種ごとのエンジンオイル量の目安は次のとおりです。
・軽自動車 3リットル弱
・普通乗用車 3~4リットル
・ディーゼル車 6リットル
上記はあくまでも目安で、エンジンの排気量などによって量は異なります。規定量が多くなるほどオイル交換代も高くなるため、どれくらいのオイル量が必要なのかあらかじめクルマの取説書で確認しておくとよいでしょう。
エンジンオイルの入れ過ぎで起きるトラブル
最初に、エンジンオイルを入れ過ぎてしまった時に起きる、エンジンへの影響をみていきましょう。
オイルを入れ過ぎると、オイルたたきやノッキング、オーバーヒートやオイルハンマーが発生し、マフラーから白煙が出ることがあります。
----オイルたたきが発生する
まず、エンジンオイルを入れ過ぎると「オイルたたき」が発生する可能性があります。オイルたたきとは、オイルを入れ過ぎたことで上がった油面をエンジン内の部品であるコンロッドがたたいてしまう現象です。
コンロッドは、ピストンとクランクシャフトをつないで上下運動をしているパーツですが、オイルたたきが発生すると、この動きに対する抵抗が大きくなります。すると、エンジンの回転が鈍くなるためレスポンスが低下し、燃費も悪くなってしまうのです。
----マフラーから白煙が出る
エンジンオイルの入れ過ぎによって、マフラーから白煙が出ることがあります。基本的にオイルはエンジンの下方に溜まっており、必要に応じてシリンダーに回ってピストンなどを潤滑させています。
しかし、オイルを規定量より入れ過ぎると、シリンダーに大量のオイルが入り込んでガソリンと一緒に燃えてしまいます。
そして、燃焼したオイルが排気されるため、マフラーから白煙が出るのです。この状態が長く続くと、エンジンが壊れてしまうおそれがあります。
----ノッキングが起こる
エンジンオイルの入れ過ぎはノッキングを招き、異音が発生することがあります。エンジンは、シリンダーに吸い込んだガソリンと空気の混合気をスパークプラグで点火して、爆発させることで動かしています。
ところが、エンジンに何らかの異常があると、プラグの点火タイミング以外で勝手に着火して異常燃焼してしまい、カキーンといった甲高い異音が発生します。
これがノッキングであり、そのまま放置するとエンジンが壊れてしまうおそれがあるのです。
----オーバーヒートのリスク
エンジンオイルの入れ過ぎは、オーバーヒートのリスクが高まります。エンジン内部に規定より多くのオイルがあると、エンジンに必要以上の負荷をかけてしまいます。
また、クランクシャフトに油面がかかると、溜まっているオイルがかく拌されてオイルの温度が上がることがあります。これによってエンジン本体が高温となり、オーバーヒートを起こしてしまうのです。
最悪の場合、エンジンを載せ替えなければならないケースもあるので、オーバーヒートした場合はただちにエンジンを止め、オイルを抜きましょう。
----オイルハンマーが起こる
規定を大幅に超える量のオイルをエンジンに入れてしまうことで、オイルハンマーが起こります。オイルハンマーとは、オイルがシリンダーに入り込んだままエンジンが回されることで、内部が破壊されてしまう現象です。
通常、ピストンは混合気を圧縮していますが、オイルが入り込むとそれを無理に圧縮することになります。
しかし、空気とは違ってオイルは圧縮できないのでコンロッドに負荷がかかって曲がり、エンジンが全損してしまうのです。
エンジンオイルの量を確認する方法
オーバーヒートや燃費の悪化などを引き起こすエンジンオイルの入れすぎを確認するための手順は次の5ステップです。
1.平坦な場所にクルマを停車する
2.エンジンオイルがオイルパンに戻るのを待つ
3.ボンネットを開けてオイルレベルゲージを取り出す
4.付着するオイルの状態を確認して拭き取る
5.再度オイルレベルゲージを入れてオイル量を確認する
----1.平坦な場所に車を停車する
エンジンオイル量を正確に測るために、まずはクルマを平坦な場所に移動・停車しましょう。坂道など傾いた場所だと油面が傾き、正しいオイル量を測れません。
平坦な場所以外で測ったことでオイルを入れすぎてしまい、トラブルを起こすケースも少なくありません。入れすぎを回避するためにも、できるだけ平坦な場所にクルマを停車させましょう。
----2.エンジンオイルがオイルパンに戻るのを待つ
平坦な場所にクルマを停車したら、エンジンを停止してから最低でも5分以上は経過した後にオイル量を測ります。これは、エンジンへ送られたエンジンオイルがオイルパンに戻るのを待つためです。
エンジンオイルがオイルパンに戻りきる前にオイル量を測ると正確な量を把握できません。入れすぎの原因にもなるため、エンジンを切ってすぐは測らないようにしてください。
----3.ボンネットを開けてオイルレベルゲージを取り出す
エンジンを切ってから5分以上経過した後に、オイル量を測ります。オイル量を測るにはボンネットを開き、オイルレベルゲージを抜きます。そのまま引き抜けば簡単に抜けます。ただし、古いクルマだとオイルレベルゲージが変形しているケースもあるため注意しましょう。
----4.付着するオイルの状態を確認して拭き取る
取り出したオイルゲージに付着するオイルをウエスで拭き取りましょう。準備する布は埃や糸くずが付着しにくいものが適しており、乾いたTシャツや端切れなどがおすすめです。これらの布がない場合には、キッチンペーパーでも問題ありません。拭き取ったオイルが明るい茶色や茶色で透き通っている状態であれば良好な状態です。
もちろん、入れたてでなければ汚れますので、少々こげ茶でも問題はありません。
----5.再度オイルレベルゲージを入れてオイル量を確認する
オイルの状態を確認し、オイルレベルゲージに付着するオイルを拭き取ったら、オイル量を確認していきましょう。オイルレベルゲージは先端にオイルの規定量が記載されており、上限・下限を示す2つの印が記載されています(H/L)。
オイル面が下限・上限の間にあれば理想的な状態と判断できます。
エンジンオイルを入れ過ぎた場合の対処法
エンジンオイルを入れ過ぎた時の対処法をみていきましょう。対処としては、自分でオイルを抜くか、あるいはカーディーラーや自動車整備工場といった業者に作業を依頼するかのどちらかが選択できます。
----自分でオイルを抜く
オイルを入れ過ぎてしまった時は、自分でオイルを抜きましょう。オイルの抜き方には、「上抜き」と「下抜き」という2つの方法があります。
上抜きの作業手順
上抜きは、ジャッキアップをせずに「オイルチェンジャー」という機器を使って、エンジンからオイルを抜く方法です。
1)エンジンルームにあるオイルレベルゲージを抜き取る
2)ゲージの差し込み口から、オイルチェンジャーのホースを入れていく
3)ホースの先が、オイルパンの底まで到達したことを確認する
4)オイルチェンジャーのスイッチを入れて、エンジンからオイルを吸引していく
下抜きの作業手順
一方の下抜きは、クルマをジャッキアップしたうえでオイルパンのドレンボルトを外し、車両の下側からエンジンオイルを抜く方法です。
1)クルマをジャッキアップして固定する
2)オイルパックを用意したうえでドレンボルトを外し、古いエンジンオイルを排出する
3)オイルが抜け切ったら、ワッシャーを交換してドレンボルトを規定トルクで締め付ける
なお、下抜きはケガなどのリスクがあるので、自分で作業する場合は上抜きがおすすめです。
----業者にエンジンオイルを抜いてもらう
作業に不安がある場合は、対応している業者までクルマを持っていき、エンジンオイルを抜いてもらいましょう。
作業の依頼先として、主に以下の業者があります。
・カーディーラー
・自動車整備工場
・ガソリンスタンド
・カー用品店
業者に頼むと工賃がかかりますが、工具を準備する手間や面倒な廃油処理をしなくても済むうえに、スピーディに作業が終わるというメリットがあります。
手順を誤ってエンジンを破損したり、作業のミスでケガをしたりといったリスクもあるため、自分では作業ができそうにないと思ったら、ためらわず業者に依頼しましょう。
最後に
エンジンの潤滑油としてだけでなく摩擦防止や洗浄分散など、さまざまな役割を果たすエンジンオイルは車種によってその量が規定されています。規定量以上にエンジンオイルを入れると「燃費の悪化」や「白煙の排出」などのトラブルが発生し、エンジンの故障につながりかねません。
エンジンオイルを補充した直後に、これらの症状が見られる場合はエンジンオイルの入れすぎが原因となっている可能性が高いといえるでしょう。
ディーラーやカーメンテナンス用品店に依頼したり、自分で対処したりといった方法で、早急にエンジンオイルを抜くことをおすすめします。
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