オートマオイル(ATF)とは?! 交換時期や注意点
オートマオイルはATFとも呼ばれる、オートマ車のトランスミッションに使われるオイルのことを指します。
エンジンオイルと比べて交換までの目安が長いことや、走行状態によってコンディションが変わるため、交換をしたことがないという方もおられるのではないでしょうか。
オートマオイルは、エンジンオイルのように定期的に交換した方がいいのでしょうか?!
あまりなじみのないオイルだけに心配になる方は多いようです。
今回のブログでは、オートマオイルの交換時期や交換時の注意点などについてご紹介していきます。
オートマオイル(ATF)とは?!
オートマオイルは、AT(オートマチックトランスミッション)車専用のミッションオイルです。
ATFはオートマチック・トランスミッション・フルードの略称で、動力の伝達・シフト制御・部品の潤滑・トランスミッションの冷却・トランスミッションの洗浄など多岐にわたっており、非常に重要な役割を果たしているオイルと言うことができます。
----オートマオイルの役割
オートマオイルには4つの役割があります。
トルクコンバータを介した動力の伝達
トルクコンバータはATを動作させる仕組みのひとつで、エンジンの動力をギアへ伝える装置のことを指します。MT車でいうところのクラッチの動作を担っており、この動力を伝えるためにオートマオイルが活躍します。
油圧制御装置の作動
AT車は手動でシフトチェンジをする必要がありません。何枚ものクラッチ板がどのクラッチを切り、どのクラッチを繋ぐかということをスピードやアクセルの踏み込み量によって自動的に制御しています。これには油圧制御の装置が用いられており、それを作動させているのがオートマオイルなのです。
変速ギア時の保護
ATでは、複数のクラッチ板を用いて自動的にシフトチェンジがなされます。オートマオイルは、クラッチやギアを潤滑し摩耗から保護する役割としても利用されています。
冷却・清浄
AT内で発生した熱や不純物を抑制し、熱はATF用オイルクーラーへ、不純物はトランスミッション内で溜まらないように清浄しつつフィルターへ運び、ATのコンディションを保ちます。
CVTFとの違いとは?!
CVTFはコンティニュアスリー・バリアブル・トランスミッション・フルードの略で、こちらも油圧で動作の調整をする「フルード」の一種です。
AT車やMT車のトランスミッションはクラッチ(歯車)を用いて動作しますが、CVT車のものはプーリー(滑車)とベルトを用いて動作します。CVTFは、このプーリーとベルトを油圧動作で調整するための油です。
なお、トランスミッション内での動作方法が異なるため、オートマオイルとの併用は基本的にはできません。
オートマオイルの交換頻度とは
オートマオイルの交換頻度は、一般的に走行距離が2万キロ~3万キロ毎の交換が推奨されていました。
現在ではメーカーや車種によっては10万キロ毎の交換を推奨していますが、背景としてはクルマの性能が向上したことにより10万キロ程度までなら、オートマオイルを交換しなくても不具合が出ることがなくなってきたことによるものです。
とは言え、クルマの持ち主が2~3万キロ毎にきちんとオートマオイルを交換していれば問題ないのですが、6~7万キロまで無交換で走ってから初めて交換すると、かえって不具合が出やすくなってしまうことが問題です。そのためにも、クルマを長期にわたり、万全の状態で乗り続けるためには、2万キロ~3万キロ毎に交換するのが、クルマのためにも有効と言えるでしょう。
オートマオイル交換時の注意点
長い間無交換だったオートマオイルを交換することで、オートマチックトランスミッションに不具合が出るのは、以下のような理由があります。
長い間無交換だったオートマオイルは、ギアの磨耗によって出た金属粉などで汚れています。しかし、長い間に徐々に蓄積した汚れは、トランスミッション内に固着していることが多く、突然不具合を起こすことはあまりありません。
ところが、オートマオイルを交換すると、オイルの粘度の違いから固着していた汚れが一気に剥がれてオイル内を移動して、トランスミッションの内部で不具合を引き起こしてしまうのです。具体的には、ギアの滑り、エンスト、シフトチェンジの不具合などが起こりやすくなります。
最悪の場合は、完全に走行不能になる恐れもあるため注意が必要です。オートマオイルの交換による不具合が起きた場合は、トランスミッション内を洗浄するか、トランスミッション本体を交換することになります。交換するとなると費用的にもかなりかかるため、クルマを買い替えることになりかねません。
また、オートマオイルの交換時期が長くなっている背景には、自動車メーカーが車種に応じたオイルを設定していることも挙げられます。決して交換するオイルは何でも良いわけではなく、グレードや添加物など細かく設定されているので、純正オイルを使って交換することをおすすめします。特にオートマチックトランスミッションと言っても、通常のATとCVTタイプではオイルが異なるので注意が必要です。
オートマチックトランスミッションは非常にデリケートな重要な箇所なので、ATFの交換には細心の注意を払い、専門店やディーラーに相談しながら作業を進めると良いでしょう。
オートマオイルの規格
オートマオイルはトランスミッションの性能を保つためにさまざまな働きをしているため、新しく交換する場合のオートマオイル選びは非常に重要です。
また、自動車メーカーは車やグレードによって適したオートマオイルの規格を設定していることから、規格に合ったものを選ぶ必要があります。指定された種類以外のオートマオイルの使用は、トランスミッションの異音や寿命の低下につながる恐れがありますので避けてください。
ATはアメリカのゼネラルモーターズ社とフォード社によって1950年代に開発されたのがはじまりで、その後全世界に広まっていきました。そのため、オートマオイルの規格は現在でもこの2社の規格がベースとされています。ゼネラルモーターズ社は「DEXRON」(デキシロン)、フォード社は「MERCON」(マーコン)という規格をそれぞれ承認しています。
さらに、日本では公益社団法人自動車技術会(JSAE)が選定した「JASO規格」という工業規格があり、日本車のATの制御に最適化された規格として「JASO 1A」規格が定められています。近年は、高性能なトランスミッションに対応した「JASO 1A02」「JASO 1A03」といった規格も増えています。
規格と対応する自動車メーカーは以下のとおりです。
DEXRON Ⅵ:ゼネラルモーターズ車(一部例外あり)
MERCON Ⅴ:フォード車(一部例外あり)
JASO 1A:日本車全般のAT車
T-Ⅳ:トヨタ車(一部例外あり)
ATF DW-1:ホンダ車全般
ATF D3-SP:ダイハツ車(一部例外あり)
これらは自動車メーカー内で共用が可能で、比較的汎用性が高いオートマオイルの規格です。しかし、なかには特定のクルマや年式にのみ適用されるという規格もあります。
最後に
オートマオイルは、ATのコンディションを保つために非常に重要な役割を持っています。そして、定期的にメンテナンスをすることで快適な乗り心地を維持できるようになります。
不純物が蓄積したオートマオイルを使用し続けていると異音や燃費の悪化、パーツの損傷につながることもあります。適切なコンディションでドライブが楽しめるように、定期的にメンテナンスを行いましょう。
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