カプチーノのメンテナンス豆知識 ①

2020/05/25 カプチーノブログ

-----オイル交換

 

カプチーノはオイル管理が大変重要で、特にタービンへのオイルラインが非常に細く、スラッジが溜まるとタービンブローを引き起こす原因となります。

オイル管理には十分気を付けて下さい。

 

■推奨グレード

メーカーが推奨するグレードはSFもしくはSG級となっています。タービンブローを予防するためには、スラッジを多く含む鉱物油よりも、スラッジが発生しにくい100%化学合成のオイルが推奨されています。

また、近年では環境対策車向けに超低粘度のエンジンオイルが販売されています。フリクションロスが少なくパワーアップや省燃費に貢献すると考えられますが、油膜切れが起こることが前提となっている成分が配合されて合成されています。ですので、カプチーノのような高回転出力タイプのエンジンで使用するには問題がある可能性もあります。摩擦抵抗の低減という面では問題がなくとも、油膜が薄くなることでコンロッドメタルへの衝撃緩衝材としてのオイルの役割が果たせないと思われます。

 

メーカー推奨の10W-30を基準としたオイル粘度が推奨されます。

 

■交換時期

整備マニュアルでは、オイル交換時期については5,000km走行ごとまたは6ヶ月、オイルフィルタは10,000km走行ごとを推奨していますが、他のNA車と同じ交換時期を記載していますので最低ラインと考えた方がいいでしょう。

 

一般的に、ターボ車はNA車よりもオイルの劣化が早いので多くの人が3,000km走行ごとの交換をしているようです。交換時期の失念を防止するために2,500km走行ごとに交換する方もいるようです。

 

また、サーキット走行などでエンジンに極端な負荷が掛かった状態となった場合にはオイル劣化は急激に進みます。実際にレース車両などは走行ごとにオイル交換をしていますので、サーキット走行を実施した場合には交換時期を早めることが推奨されます。

 

 

・EA11R(F6A)

 

エンジンオイル量

交換時:2.8L

フィルタと同時交換時:3.0L

分解時:3.4L

推奨オイル:SFもしくはSG級

 

オイルプレッシャ

基準値:2.7~3.7kg/cm2-4,000rpm(参考値・完全暖気後)

 

レベルゲージの上限と下限の差:1L

 

・EA21R(K6A)

 

エンジンオイル量

交換時:2.7L

フィルタと同時交換時:2.9L

分解時:3.3L

推奨オイル:SFもしくはSG級

 

オイルプレッシャ

基準値:3.8kg/cm2-4,000rpm(参考値・完全暖気後)

 

レベルゲージの上限と下限の差:1L

 

 

■エレメント

オイルエレメント(フィルタ)は、スラッジなどにより目詰まりを起こすと油圧を下げることに繋がります。高価なものではありませんので、エンジンオイル交換の2回に1回はエレメントも交換するといいでしょう。

 

オイルエレメントは共通部品ですので、他車のものも使用することができます。

-----エンジン

 

■F6A

 

・タイミングベルト

多くのF6Aエンジンでタイミングベルトが切れる事象が発生しています。

整備マニュアルには交換時期を100,000kmもしくは4年(初回は5年)と記載されていますが、ほとんどの場合で100,000kmまで放置されて年数による交換時期を超過したために発生したのだと考えられます。

タイミングベルトが切れてもピストンは慣性で動くことから、バルブをピストンが突いてしまいバルブが曲がってしまうなどエンジンブローの原因となります。

 

■交換時期

車検2回に1回は交換することをおススメします。

また、スズキスポーツから強化カムタイミングベルトが発売されています。値段は倍になりますが、強度があって寿命も長いことから交換サイクルの延長や工賃などのことを考えるとリーズナブルと言えるでしょう。

なお、タイミングベルトによって駆動するウォーターポンプも経年劣化する部品であり、ウォーターポンプの交換にはタイミングベルトの脱着が必要なことから、同時に交換することで工賃の節約にもなります。

 

・クランクシャフトプーリー

F6Aエンジンはクランクシャフトプーリーに振動防止のためのダンパーゴムが使用されています。このダンパーゴムが経年劣化により破断してしまい、プーリーが飛ぶという事象が多く発生しています。

クランクシャフトプーリーはジェネレーターとエアコンコンプレッサーのベルトを回しているため、ダンパーゴムが破断すると発電ができなくなりますが、エンジン自体は動くのでしばらくは走行が可能です。ですが、クランクシャフトプーリーはクランクタイミングプーリーと繋がっていて、破断時にタイミングベルトが飛ぶ事象も確認されていることからエンジンブローに繋がる恐れがあります。

整備マニュアルには記載はありませんが、タイミングベルト交換時に同時に交換するか、AZ-1やキャラのようなダンパーゴムの無いタイプに交換してメンテナンスフリーにするといった方法もあります。なお、ベルト類はカプチーノ用を使用して下さい。

 

 

■K6A

K6Aエンジンはスズキの車両の多くで採用されていますが、そのほとんどは横置きです。カプチーノのような縦置きはエンジンマウントなどの位置が違うなど、搭載できないものがほとんどです。

唯一使用できるエンジンはJA22Wジムニー用のエンジンで、同じ縦置きで流用が可能です。

 

・オーバーヒート

EA21Rに搭載されているK6Aエンジンは機械によって組み上げられています。工場での組み上げ時のボルトの締め付けトルクは、機械によって一定に締められますが、個体差までは考慮されておらず締め付けトルクにバラツキがあるケースもみられます。これにより、高回転を維持する走行(5,000rpmを超える状態を数分)を続けるとガスケットが抜けるオーバーヒートを起こす可能性もあります。一般のオーバーヒートとは違って、水温が100℃以下でも発生するため注意が必要です。

 

・ECUリセット

EA21Rのエンジン周りのパーツを交換した時は、その状態をECUに再学習させるためのECUのリセットが必要です。

ECUのリセットは、バッテリーを10分ほど外した後にイグニッションをONにして10秒程度置きます。その後、エンジンを始動しアイドリングで30分程度待ちます。これによりECUは新しいパーツの情報を再学習します。

この手順を行わないとアイドリングが不安定になったり、エンストを起こす可能性があります。

 

 

-----足回り

 

■タイヤ

カプチーノの純正ホイールに指定されるタイヤサイズは165/65-R14 79Hですが、既に純正タイヤ(ポテンザ)は廃盤となっていますので、他のタイヤを装着することになります。しかしながら、このサイズで設定のあるタイヤは限られていますので、175/60-R14 79Hを代用するオーナーが多いです。

 

・空気圧

標準空気圧:1.6kg/㎠

ロードインデックス:79

荷重能力:345kg(JATMA規格)

 

■ホイール

ホイールはEA11RとEA21Rで異なります。

EA11Rのホイールは7本スポークですが、EA21Rは6本スポークとなり軽量化されています。また、純正オプションとしてBBSのホイールも用意されていました。

 

・純正ホイールの諸元

PCD:114.3

リム幅:5J

リム径:14インチ

ハブ径:60

オフセット:45

重量:EA11R用4.84kg EA21R用4.00kg

 

・洗浄

ホイールはブレーキダストにより茶色または黒く汚れることから洗車時に洗浄しましょう。表面側は洗浄がしやすいのですが、裏側はタイヤとホイールの脱着が必要となるので簡単ではありませんが、数回に一回は裏側の洗浄もおススメします。なお、表面は塗装が施されており錆びにくくはなっていますが、キズなどにより腐食する可能性もありますのでお手入れが必要です。

 

・ホイールバランス

タイヤ交換時にホイールバランスを行いますが、急ブレーキやホイールスピンなどがあると当初の位置からずれてしまいます。

ホイールバランスが崩れると、ハンドルのブレなどの症状が出てくる場合がありますので、気付いた時に再度のホイールバランスの実施が必要です。

 

・バルブ

純正ホイールに使われているエアバルブはゴムでできているため、経年劣化によりひび割れが起こりエア漏れにつながる恐れがあります。1個数百円のものなので、タイヤ交換2回に1回は交換することが推奨されます。

 

・廃盤

EA21Rのホイールは軽量であることから、EA11Rのオーナーやアルトワークスのオーナーが使用することが多いのですが、既に廃盤となっているため新品購入はEA11Rのホイールのみとなります。

 

■サスペンション

サスペンションはボディとサブフレームで固定されています。サブフレームはボルトで繋がれていますが振動により緩んでしまうことが報告されています。特にリヤ周りから路面のギャップを拾った時などに音がするようであれば、ジャッキアップしてボルトの緩みを確認する必要があります。

車検時に点検してもらうよう指示することも大切です。

-----冷却系

 

■ラジエーター液

ラジエーター液は一般的にLLC(ロングライフクーラント)が使用されています。LLCを混入するとラジエーター液が0℃でも凍結しなくなり、水が腐敗しなくなるので錆を防止し沸点が上昇するオーバーヒートも起こしにくくなります。

凍結を防止する温度はLLCの濃度によって異なり、通常では新車時は30%としているメーカーが多く、交換時も特に指定しなければ30%になっているかと思います。温暖な地域なら30%でも問題はないですが、寒冷地に行く場合には50%にした方が無難かと思います。

メーカーでも寒冷地仕様車では新車時から50%のことが多いようです。

 

車上整備

※冷却系の整備がエンジンが冷えている時に行い、冷却水が高温になっている時はラジエーターキャップやリザーバータンクのキャップを外さないこと

 

・水量点検

1.ウォーターリザーバータンク内の冷却水がFULLとLOWの間にあるか点検する

2.水面がLOWより低い場合には、リザーバータンクのキャップを外し冷却水をFULLの位置まで補給する

 

・交換時期

LLCは長く使っていると防腐、防錆能力が低下していきます。寿命は一般的なLLCの場合、新車時なら3年、それ以降は2年ぐらいとされています。この時期を超えると水垢が発生しやすくなり、そのまま使い続けると冷却装置の各部に汚れが付着し、冷却能力が低下したりウォーターポンプなどにトラブルが発生することもあります。

これらのことから、車検時にはLLCを交換することが必須であると言えます。

 

■サーモスタット

一般的にエンジンは水温80~90℃が適正であると言われています。カプチーノのサーモスタットは、水温82℃で開き始め95℃で全開となります。

車上整備の対象ではなく、メンテナンスを行うためにはラジエーター液を抜く必要もあり、不具合の可能性がある場合には交換となります。

 

・交換時期

一般的にサーモスタットの交換時期は10年100,000kmと言われています。その頃になるとラジエーターホース、ウォーターポンプも劣化してきているので一緒に交換するといいでしょう。

 

■ラジエーターホース

高温の冷却水が通るラジエーターホースは、ゴムでできていることから経年劣化により硬くなってしまいます。ゴムホースが硬くなると接合部分の弾力性がなくなり、そこからラジエーター液が漏れてしまいます。

 

・車上整備

アッパーホースはエンジンからの冷却水がラジエーターに返ってくる部分であり、一番に硬くなりやすい場所です。このホースをつまんでみて、硬くなっているようなら交換時期でしょう。

 

・交換時期

一般的に、サーモスタットの交換時期は10年100,000kmと言われています。その頃になるとサーモスタット、ウォーターポンプも劣化してきているので一緒に交換するといいでしょう。

 

■ウォーターポンプ

ウォーターポンプは経年使用により、徐々にシールが劣化して冷却水が漏れだす恐れがあります。エンジンに直結している部分であり、漏れていてもエンジンの熱により蒸発し発見が遅れることも多いようです。

ウォーターポンプは非分解式なので修理は不可です。不具合がある場合には新品交換となります。

 

・交換時期

整備マニュアルに交換時期の明記はありませんが、タイミングベルトで駆動することからタイミングベルト交換のついでに交換するのがいいでしょう。

タイミングベルトとの同時交換ですと、別々での交換より工賃が節約できます。

 

 

 

 

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