短縮されない 新型ジムニーの納期

2020/03/05 ジムニーブログ

スズキ ジムニー/シエラがデビューしたのは2018年7月のことです。そこから1年半が経過した2020年2月の段階でもその人気は衰えることなく、長い納車待ちが現在でも続いています。

 

これまでにも初期受注をたくさん抱えたクルマは存在しましたが、販売開始から半年もすれば納期も落ち着いてきたものです・・

にも関わらず、なぜジムニー/シエラの納期は短くならないのでしょうか?

デビューから1年半経過後も納期は1年を超える

 

 

軽自動車のジムニーと小型車のシエラは2018年7月に登場しました。その後の納期はシエラも含めて約1年という長さで、短くなる気配もありません。

直近の納期を知るために、2020年2月中旬にスズキの販売店に確認してみると・・

 

「ジムニー/シエラの納期は、現時点で契約されたとして2021年3月から4月になります。納期が1年以上ですので、現時点では正確なお日にちは伝えられません。発売から1年以上が経過したクルマの納期が1年を超えるのは今までに経験したことがありません。」

 

ジムニー/シエラは発売から1年半を経ても、納期遅延が異常に長続きしています。

過去には2009年に発売された3代目プリウスも、発売直後の納期が約10ヶ月ということがありましたが半年ほど経過すると納期は約2ヶ月ほどに落ち着きました。

なぜ納期が短くならないのか

 

 

ジムニー/シエラの納期が長い理由は、その高い人気のためですが生産規模も影響しているといわれています。2019年におけるジムニーの届け出台数は1ヶ月平均で2,523台となっています。

スペーシアは1ヶ月平均で13,866台、ワゴンRも7,504台の届け出があったので、ジムニーの生産規模は明らかに少なく思えます。もともとが納期の延びやすいクルマなんですね。

販売店によると

 

「2018年の発売直後はジムニーの生産台数が今よりも少なかったのですが、今では当時に比べて増産しました。ですが、それでも追いつきません。」

とのことで、その数字を追ってみると・・

 

ジムニーが発売された直後1ヶ月の届け出台数は1,900台前後であり、現在は2,523台なのでおよそ1.3倍に増えていますが、それ以上に受注が多く納期を短縮できない状態が続いています。

 

ジムニーの納期が長いのなら、スペーシアやワゴンRのように大量生産すればいいと思いますが、メーカーの事情により困難なようです。

なぜなら、生産規模を一度増やしてしまうとそのペースを継続的に保たなければならないからです。

ジムニーが現行型にフルモデルチェンジする前の2017年の届け出台数は1ヶ月平均で1,124台でした。

仮に現時点でジムニーの1ヶ月の生産規模を2倍の5,000台にまで増やすと、数年後に1ヶ月の受注が1,000台ほどになった時に過剰な生産設備を持つことになってしまうのです。

特に今後は、ハイブリットを含めた電動化や将来の自動運転につながる運転支援機能などの技術が進化します。これに伴ってクルマ造りも変わっていくと思われます。

先行きの受注が不透明なので抜本的な増産にも踏み切れずにいるのです。

スズキ独自の流通ルートも影響か

 

 

さらに、納期遅延の原因はスズキ独自の流通ルートにもあるといわれています。

スズキ販売店にはメーカーと正規の代理店契約を結んでいるスズキ店とアリーナ店が合わせて1,100店舗あります。当初スズキ店は軽自動車、アリーナ店は小型車(登録車)を中心として扱っていましたが、最近ではどちらも全スズキ車を販売するようになっています。

これ以外に比較的大型の副代理店が約5,000店舗、業販店も約50,000店舗存在し、これらすべてがジムニー/シエラを販売しているのです。

スズキ全4輪車の80%が業販店による販売といわれており、ジムニー/シエラもまたしかりなのです。

 

副代理店と業販店はメーカーと直接に代理店契約を結んでいないため、副代理店や業販店がユーザーとジムニー/シエラを販売する契約を結ぶと正規店に契約書が回り、納期の打診を正規店がメーカーに申請します。さらに、各店舗での展示のためのデモカーや試乗車も含まれるため、これらすべての受注分もメーカーが引き受けることになるのです。なかには業販店が、近いうちに売れるであろう車種を想定して発注したりするので、人気の高いジムニー/シエラは余計にバックオーダーが貯まってしまうのです。

ハスラーの納期も長くなり・・

 

 

販売店によると、さらに困った状況も発生していると言います。

 

「ジムニーの納期が長いために、タイプは違うものの同じSUVカテゴリーに入るハスラーを検討するお客様もみられます。ですが最近では、ハスラーの納期も長くなりました。2020年2月中旬に注文を頂いて、納車されるまでに約4ヶ月かかります。ノーマルエンジン車に比べると、ターボ車の納期は少し短い印象も受けますが大きな差はありません。今後はさらに納期が延びる可能性もあります。」

 

ハスラーの発表は2019年12月ですが、納車を伴う発売は2020年1月20日となっています。従って現時点での正確な売れ行きは分かりませんが、月販目標は6,000台とされています。

そして先代型は、登場直後の2014年に1ヶ月平均で8,686台を届け出しました。仮に新型ハスラーの売れ行きが先代型の発売直後と同程度だとすれば、受注が生産規模を上回り納期が遅延する可能性もでてきます。先代型も発売直後には納期が長引きました。

 

納期の遅延は顧客にとっても困った問題です。今は新車需要の約80%が乗り換えに基づくので、愛車の車検期間満了の2~3ヶ月前から商談を開始する人が多いと言います。納期が長引くと、愛車の車検を取り直すといった予想外の手間と出費を要します。

また、下取りに出す愛車の査定も面倒です。クルマの価値は時間の経過に伴って下がるため、現時点で査定をしても納期が半年後となれば価値が変わってしまうのです。この間に大きなキズなどがつく可能性もあるため改めて査定をする必要がでてきます。

 

ジムニー/シエラの納期が1年以上で、ハスラーも4ヶ月となれば納期短縮に向けた対策を講じて欲しいものですね。

 

現行ジムニーの届け出済み未使用中古車もありますが、非常に高値で取引されています。XCの新車価格は187万5500円(4速AT)ですが、届け出済み未使用中古車には200万円以上の車両も多くみられます。納期の長期化を見込んだプレミアム価格になっているのだと思われます。

受注予約の合理化も

 

 

ちなみに最近の国産車メーカーでは、新型車を発売する数ヶ月前に予約受注を開始して台数を貯め込むのが流行しています。そうすれば生産を伴う発売と同時に効率よく納車を始められます。ただし、予約受注の段階では顧客と販売店は実車のない状態で商談を行い、メーカーに注文を入れます。このリスクを避けて試乗した後に注文をすると納期が長引いてしまうのです。

こういったやり方が横行してしまう理由は生産の合理化です。予め注文を取っておけば販売台数や売れ筋グレードなどが生産開始前に把握できます。そうすれば、下請けメーカーに対する部品の発注などを正確に行えます。メーカーの都合を優先して、顧客を待たせることが当たり前となってきているのです。

 

スズキは日本国内では軽自動車中心のメーカーですから、短期の納車を希望する顧客も多く納期遅延を嫌う傾向が強いです。そのために他メーカーと違い、ジムニー/シエラについても「発売後1ヶ月間の受注台数が1年分に相当する15,000台を突破!」といった報道発表は行っていません。

顧客を待たせることを誇る真似をしないのは良いことですが、それにしてもジムニー/シエラの納期遅延は問題です・・

ジムニー/シエラの需要を見誤った結果が

 

 

現行ジムニーは1970年に発売された初代モデルを彷彿とさせる直線基調の外観が特徴です。1998年に発売された先代型は、都会的なSUVの流行に乗って丸みのあるデザインにしましたが、現行ジムニー/シエラは対照的です。その結果、ジムニーの個性が際立って人気を高めました。

こうしたジムニー/シエラのクルマ造りが、顧客からどのように受け止められるのか。スズキにはそこまで見通した上で、当面の国内販売目標台数を決めて生産の準備をしておく必要がありました。

予想以上の人気ともとれますが、国内におけるジムニー/シエラの需要を見誤って準備も不足した結果、納期が延びてしまったと言えるでしょう。