新型ジムニーと新型ハスラーを比較してみると

2020/03/10 ジムニーブログ

人気の高いSUVは、オフロード派とシティ派に分けられます。

オフロード派は悪路の走破力を優先して開発されており、耐久性の高いプラットフォームと足回りを備えています。後輪駆動をベースにした4WDシステムを搭載して、駆動力を高める副変速機を採用しているクルマが多いのが特徴です。

 

シティ派は、前輪駆動をベースにした乗用車タイプのプラットフォームを備え、居住性・乗降性・走行安定性・乗り心地などが優れています。悪路の走破力はオフロード派ほど高くはありませんが、4WDを備えれば雪道程度なら十分に走れます。そのため、最近ではシティ派が増え、SUVの売れ行きも堅調となっています。

 

そしてスズキは、オフロード派とシティ派のSUVを軽自動車のサイズで両方ともにそろえる貴重なメーカーとなっています。

オフロード派には2019年7月にフルモデルチェンジをした新型ジムニー、シティ派には2019年12月に発表された新型ハスラーがあります。

新型ジムニー 軽自動車 スズキ

----------サイズは同じだが異なるサイズ感

 

ジムニーとハスラーを比較してみると、全体としてなんとなく似ている部分もありますが、やはり大きな差があります。ボディ全体から感じ取れるサイズ感が違うのです。

2ドアと4ドアというボディスタイルの違いは当然ですが、ボディ寸法はどちらも軽自動車規格いっぱいの全長3395mm×全幅1475mmとなっており、全高はジムニーの方が45mm高くなっています。ですが、その数値以上に見た目の印象はジムニーの方が背高に感じられるのです。

理由はボンネットの位置にあるようで、エンジンの搭載位置が大きく異なっています。

ですがやはり、2台の雰囲気は似ていると言えるでしょう。ハスラーがジムニーに寄せにいってると言ってもいいかもしれません。

キーワードは「タフさ」なのです。

 

 

 

----------大きな違いはヒップポイントと密閉感

 

そもそも、ハスラーが初代モデルから採用している丸目2灯ヘッドライトはジムニーに寄せたものになっています。さらには、新型ハスラーは初代モデルと比べてボディ全体をスクエアとしたこともジムニーと似かよっている大きな要因です。室内空間を広げることは当然ですが、ジムニーのイメージを大きく意識した結果と言えるでしょう。

 

この2台の間で最も大きく異なるのはリアビューです。ゲートの開閉方向が上下と左右で異なっており、またリアコンビライトが高い位置の縦型と低い位置の横型という違いがあります。そして、ジムニーがスペアタイヤを背負うことがリアビュー全体の印象を大きく変えています。

 

車内にもまた、相違点と共通点があります。

最も大きな違いはヒップポイントの高さであり、目線は当然ジムニーの方が高いであろうと予測できますが、ハスラーはお尻がストンと落ちる感じがするほどヒップポイントが低いのです。初代ハスラーと比べて7mm低だといいますが「腰の据わりの良さ」による低さ感を実感できると思います。

 

 

 

 

新型ハスラー 軽自動車 スズキ

----------ワクワクを刺激する“プロテクト感”

 

もう一つの大きな違いは密閉性です。

ハスラーはドアが上級車のようにバッスンと閉まり、さらに吸音と遮音によって車内の静寂性はエンジンをかけない状態でも実感できるほどです。

対するジムニーは、少々大げさな表現をするとまるで屋外にいるあのような密閉感の低さです。タフさというよりはワイルドな印象を受けます。

 

別の見方をすると、両車の車内の雰囲気には共通点だと感じる部分もあります。スズキが“プロテクト感”と呼ぶ部分です。これは一般的に囲われ感とも呼ばれるものです。

ヒップポイントや目線の高さは違いますが、両車ともに運転席からの前方視界は水平方向が強調されています。そして、少し高めの位置にあるダッシュボードと横長の形状のフロントガラスによって、外部からプロテクトされている(守られている)感じを受け、そのプロテクト感がドライバーのワクワクを刺激するのです。

 

 

 

----------ジンワリのジムニーとダイナミックなハスラー

 

では、走りはどうでしょうか?ハスラーのハイブリットXターボ 4WDとジムニーの走りを比較すると結果は予想通り、市街地や高速ともに走りの味は全く違うものでした。

 

本格的なオフロード走破を前提として、日常遣いと高速道路での走行性が先代と比べて大きく進化したジムニーは、路面からの入力や空力による外乱などをラダーフレームがジンワリと粘ってくれる印象です。

泥地や圧雪でも走行が可能なガッシリした乗り心地の16インチタイヤが、調和した乗り心地とハンドリングを実現し、まさしくFR車であると感じさせてくれます。

R06A型ターボエンジンは、4速ATであることも考慮しオフロードを意識したジンワリとした乗り味のトルクとパワーの味付けになっています。

 

一方、ハスラーの走りはダイナミックでキレがあって心地が良いのです。初代ハスラーの乗り心地はお世辞にも良いとは言えず、ハンドリングにもキレがありませんでした。しかし新型は、ボディの剛性の見直しによって乗り心地とハンドリングを一変させました。さらに、4WDによる重量バランスが奏功しています。エンジンはものすごくトルキーであり、市街地での発進時や高速道路での合流、追い越しでグイグイと加速します。

ハイブリットによる低速での押し出しから、ターボによる加速、さらに新開発のCVTによる伸び感までのつながりがとても良く仕上がっています。

現在販売されている軽自動車4WDのなかでも最も豪快でありバランスの良い走りをする1台だと言えるでしょう。

 

このように、走りについては180度違うジムニーとハスラーですが、どちらも生活の幅を広げたくなるような冒険心がそそられるという点では共通しているようです。

ジムニーは機能美と実用重視の走りを求めたクルマ。新型ハスラーは機能感としてのタフさをイメージしたアクティブな軽クロスオーバー。どちらもその根底にあるのはスズキらしいクルマ造りの精神なのです。

 

 

 

----------それぞれの総合評価

 

ジムニーは新型になって、運転感覚と乗り心地を大幅に洗練させました。市街地を走る使い方でも特に不満はないですが、本質は悪路を走るために開発されたオフロードSUVなのです。走破力を高めるために、後席と荷室の広さ、燃費性能などを犠牲にしているので悪路を全く走らない使い方はもったいないとも言えますが・・せめて雪道程度は走って欲しいです。笑

それだけでも運転していると楽しい気分にさせてくれますし、街中を普通に走らせるだけでもジムニーらしさを満喫できます。

 

ファミリーからパーソナルまで、一般的な用途にはハスラーが適しています。基本的な機能はワゴンRと同じく実用的で、SUVの楽しさを調味料のように上手に使っています。