ジムニーの「ジャダー」 原因と対処法

2022/10/20 ジムニーブログ

 

 

ジャダーはクルマが故障したときに現れる症状の一つですが、ジムニーではよくある故障(特にJB23は顕著)として有名です。


中にはすでに経験したことがある人や、今まさにジャダーの症状が出て困っている人もいると思います。


今回のブログでは、ジムニーのジャダーが発生する原因、その対処法などをご紹介していきます。

 

 

 

 

 

ジャダーとは?!

 


「ジャダー」と聞いてもあまりピンとこない方もいるかもしれません。日常生活ではあまり使わない言葉かと思います。


ジャダーとは、直訳すると「激しい振動」を意味する英単語です。


自動車業界では不具合症状として、車体が激しく振動する現象のことを指します。


ジャダーに似た現象でハンドルが回転方向に振動する症状をシミーと言います。


ジャダーやシミーの発生原因にもよりますが、主に中〜高速域に発生するものが多いです。

 

 

----ジムニーではJB23において起こりやすい


ジムニー業界では誰もが知るところですが、ジャダーはJA11よりもJB23で起こりやすいです。リフトアップ車だけでなく、まったくのノーマル車でも発生します。


JA11のリーフサスペンション機構に比べると、ジムニーJB23のコイルサスペンション機構はジョイント・ブッシュ・アームが多く、経年劣化やリフトアップによりガタが出やすい構造になっています。


それがアライメントが保持できない原因となりジャダーへと繋がっていきます。


ちなみに現行ジムニーではシミー対策として「ステアリングダンパー」を採用しています。

 

 

 

 

 

ジムニーにおけるジャダーの発生原因とは

 


ジャダーの原因は広範囲に及び、同じ症状で原因が違うこともあれば、症状も原因も違う場合もあります。


確かに車種によって原因部品に偏りがあることは事実ですが、全てが同じ原因というわけではありません。


ミッションの変速時なのか・高速走行時なのか・ブレーキ時なのか、条件によってジャダーの原因が変わってくるのです。


今ジャダーで悩んでいる人は参考にしてみてください。
また紹介するものは、ジムニーのみならず他車種でも当てはまることがあるので必見です!

 

 

----MTクラッチ部品の摩耗・破損


MT車の場合クラッチが繋がるタイミングや、走行不可が増えたタイミングでジャダーが発生します。


クラッチ板の偏摩耗やダイヤフラムスプリングの破損によってクラッチの締結力が弱まり、摩擦によってジャダーが発生するのです。


またクラッチ締結時の衝撃を吸収するダンパースプリングが破損することにより、振動が発生することもあります。


各クラッチ部品の寿命の場合が多いですが、クラッチを「蹴る」などの荒い操作をすると早期で発生しやすいです。

 

 

----オートマミッションの故障


オートマミッションはかなり複雑で、オートマオイルの油圧で内部のギヤを固定したり空転させたりしています。


もっと簡単にいうとギヤにブレーキをかけて固定したり、クラッチを切り離して空転させていたりするということです。


頑張ってギヤを固定しようとしているのに動いてしまう、または空転しなければいけないのに固定されてしまう状態になると、ギクシャクした挙動になり振動が発生します。


オートマミッションの寿命と言ってしまえばそれまでですが、明確に何万kmで寿命を迎えるかは分かりません。
約10万kmが目安で考えていいと思いますが、中には20万km保つものもあります。


ただし過酷な状況で走る機会が多い場合は、寿命は短くなると言ってもいいでしょう。

 

 

----カスタムに起因する不具合


ジムニーのリフトアップやタイヤサイズ変更など、カスタムを楽しむ人は多いと言っていいでしょう。


リフトアップをするとほとんどの場合、ホイールアライメントに狂いが発生します。
ホイールアライメントとはクルマが安定して走るために設定する、タイヤなどの足廻り部品の取り付け角度を言います。


人間で言うところの「骨盤」のようなもので、骨盤が歪むと人間はきれいに歩けなかったり、体の一部に負荷が集中したりしますよね?
人間の骨盤の歪みを治すように、クルマにもホイールアライメントを調整することが必要です。


リフトアップ後は必ず調整作業を行うと思いますが、調整不足・走行中の狂いなどでジャダーが発生することがあります。


もちろん「カスタム後のホイールアライメントの狂い」はあくまでも一例です。
社外部品が多い場合、社外部品の状態から確認するのが原因発見の近道でしょう。

 

 

----ホイールバランスの崩れ


タイヤを交換したあとは回転にブレが生じないように、ホイールに適切な重さのバランスウエイトを取り付けます。


ですが使用過程により、ホイールバランスは徐々に変わっていくのです。


ホイールバランスが狂うとタイヤはきれいに回転せず、ハンドルや車全体に細かい振動が発生します。
また速度が上がれば上がるほど振動が激しくなり、低速時では振動が体感しにくいです。


前述のホイールアライメントの狂いにより、タイヤにかかる負荷大きい状態だとホイールバランスがく崩れやすくなります。


またジムニーのホイールを逆履きする行為も、バランスが悪くなる原因の一つです。

 

 

----キングピン廻りのガタ


キングピンはフロントアクスルとナックルを繋ぐための部品で、ジムニー以外の一般乗用車では殆ど使われていない部品です。


キングピン内のグリスが漏れることや悪路走行などでダメージが蓄積すると、ベアリングが破損してガタが発生します。


記事冒頭で説明した「ジムニーのジャダー」の代表格と言ってもいいでしょう。


キングピン系統の部品の位置はホイール裏のフロントアクスル接続部です。
下廻りを覗いてみて、ホイール裏がグリスまみれになるまで汚れていたら交換の必要が急務でしょう。

 

 

----エンジンマウントの劣化


エンジンはエンジンマウントを介してボディに取り付けられています。


エンジンの振動を吸収して騒音を低減させるために必要な部品です。
材質はゴム製なので経年劣化により硬質化すると、衝撃を吸収できなくなり振動が発生します。


振動はアイドリング中でも発生し、エアコンONなどでエンジン負荷が大きくなると振動も大きくなります。


頻繁に交換が必要な部品ではありませんが、約10年以上使用したクルマに見られる症状です。

 

 

----ブレーキ系統の異変


フロントブレーキは、タイヤと同期して回転するブレーキローターをブレーキパッドで挟み込み、摩擦によって回転を止めさせます。
自転車のフロントブレーキと同じ原理と言っていいでしょう。


過酷な状況で使用したことによりブレーキローターが偏摩耗した場合や、ローターに錆が発生し表面が荒れている場合にジャダーが発生します。


基本的にはブレーキペダルを踏んだときに発生する症状ですが、ブレーキローターの状態が悪いと走行中でも発生する場合があります。

 

 

 

 

 

ジャダーが発生した場合の対処法

 


ジムニーのジャダーが発生したときに応急的に何をすれば良いかをまとめました。


対処方法の中には相応の運転技術が必要なものもありますので、状況に応じて出来るだけ安全を優先して対処してください。

 

 

----減速・停止


確実に症状を収めるにはこれ以外ありません。もっとも安全でおすすめです。路側帯などに車を止めましょう。

 

 

----加速・アクセルオン


速度域を上げると症状が収まる場合があります。

 

 

----ブレーキを瞬間的に踏む


カクッと瞬間的にブレーキを踏むと症状が収まる場合があります。

 

 

----ステアリング(ハンドル)を瞬間的に切る


左右どちらかに瞬間的にハンドルを切ると症状が収まる場合があります。

 

 

----予防】ステアリングにテンションをかけておく


蛇行運転の様に左右にステアリングを当てておくことで、タイヤに対して常にテンションがかかりジャダーが発生しにくくなります。

 

 

----予防】4駆で走行する ※直進時のみ


フロントタイヤにも駆動が掛かることでジャダーが発生しにくくなります。交差点のような曲がり角ではタイトコーナーブレーキング現象が発生するため直進時のみの使用に限られます。


また、定期的に4駆走行をすることでキングピンといわれるジャダーの原因となりやすい部分にグリスが循環し、劣化を遅らせる効果も望めます。

 

 

 

 

 

ジャダー対策としてできること

 


車載工具などを使用して、タイヤの4つのポイントを確認してみましょう。

 

・ホイールナットがしっかり締まっているか
・空気圧は適正か(パンクしていないか)
・タイヤが偏摩耗していないか
・ホイール外観(裏側含む)に歪みはないか、ぶつけていないか

 

意外にも、ホイールに縁石や障害物がぶつかって歪んでしまい、ホイールバランスが崩れてしまうケースは結構あります。


アルミホイールよりもスチールホイールの方がよく見かけますね。
もし今後タイヤを外す機会があれば、一度確認をしてみてください。


また、カスタムパーツを多く使用している人はホイールアライメントを見直し・調整してみるのもいいと思います。


ラテラルロッドを社外品に交換していれば、取り付け・調整に不備がないか、状態は良好かを同時に確認してみましょう。


中には経年劣化を起こしているゴムブッシュもあるかもしれません。


気持ちよく・きれいに走れるようにアライメントはしっかり調整しましょう!

 

 

 

 

 

最後に

 


ジャダーは症状がひどいと、恐怖を感じるほどの振動が発生します。


怖いと思ったら無理をせず、路肩にクルマを停めましょう。


ただし対処の際は、冷静に周囲を把握してから行動してください。


ジャダーの根本原因が改善されていなければ、一時的にジャダーが起こらなくなったとしても、再び起こる可能性もあります。


一向に症状が改善されない、という場合にはぜひレイズにご相談ください!!
ジムニーに精通した整備士が、お客様のジムニーが快適な走行ができるようにお手伝いいたします。

 

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